続きまして、都市の緑の保全と活用について質問をしてまいります。主要施策説明書の中で、自然環境の保全・再生の活用については、都市のみどりの保全と活用を推進するため、法令に基づく規制・買入れ等により都市近郊の緑地を保全したとしています。
そこで、お伺いしますが、緑地を開発から守るという意味で買入れが重要になると思うのですが、どのような緑地を買入れ対象としているのかということをお伺いします。
自然環境保全課長
対象緑地の種類は2種類あります。一つは法令に基づくものでありまして、法令によって強い規制を掛けまして開発を規制するとともに、開発の申請などが不許可になった場合に、その補償として県が買入れを行うものです。例えば、古都における歴史的風土の保存に関する特別措置法、いわゆる古都の条項に基づく歴史的風土特別保存地区などがこれに該当します。
もう一つはトラスト制度と言いまして、かながわトラストみどり基金を活用して買入れを行うものです。このトラストみどり基金を活用して行う買入れにつきましては、法令による保全を補完するものとして運用しておりまして、法令等の規制が掛かっていない緑地で保全の必要性が高い緑地を、基金を取り崩して買入れを行っています。
石川(裕)委員
それではその買入れ面積は、平成26年度はどれぐらいだったのかということと、かながわグランドデザインがありますが、その中でこの4年間でどれぐらい買い入れたのかという実績も含めてお伺いします。
自然環境保全課長
まず、平成26年度の買入れ実績ですが、約8.0ヘクタールの緑地を買い入れました。また、グランドデザイン第1期計画の平成24年度から平成26年度においての買入れですが、合計で22.7ヘクタールの緑地を買い入れています。
石川(裕)委員
この22.7ヘクタールの中に、今回の8ヘクタールも入っているのですか。
自然環境保全課長
含まれています。
石川(裕)委員
そういう中で、この4年間で22.7ヘクタールを県として買い入れたというところでいくと、この古都も含めてですが、この緑地行政というのですかね、どのようにこの4年間を評価しているか、この辺についてお伺いしたい。
自然環境保全課長
評価をお答えする前に、先ほど申し上げました22.7ヘクタールですが、グランドデザイン実施計画第1期目の期間ということで、平成24年度から平成26年度までの3年間の数値で、グランドデザインの期間に合わせてお答えを申し上げました。
第1期計画の緑地行政の評価ということですが、そういった取組を行いました結果、県有緑地は寄附により受け入れたものも含めまして、平成26年度末現在、合計で357ヘクタールが県有緑地になっています。
これにつきましては、買入れによりまして開発から緑地を守るという点では、一定の成果があったものと考えておりまして、買い入れるべき緑地を安定的に買入れ、ある程度保全をすることができたと考えています。
しかし、買い入れた緑地が手入れ不足の状態でありまして、特に台風や大雨などの際に木が倒れて、隣接する住宅地に被害を与えてしまうといったことが起こっていますので、今後は緑地の適切な維持管理ということが課題であると考えております。
石川(裕)委員
維持管理というお話がありましたので、かながわトラストみどり財団についてお伺いします。維持管理を進める中で、このトラストみどり財団に7,643万円の補助が出ていますが、このみどり財団と県との役割分担をお伺いしてよろしいでしょうか。
自然環境保全課長
(公財)かながわトラストみどり財団ですが、かながわのナショナル・トラスト運動を県とともに推進するという位置付けです。かながわのナショナル・トラスト運動と言いますのは、すなわち神奈川の優れた自然環境や歴史的環境を保全して、緑豊かな神奈川を子孫に引き継ぐために、県民、団体及び企業、並びに市町村の協力の下、財団と県が車の両輪となって、貴重な都市の緑を保全する運動を推進していこうというものです。
財団につきましては、その推進母体としまして、トラスト運動の普及啓発ですとか緑地の所有者との緑地保存契約の締結、市町村が行う緑地保全事業への助成、樹木の配布など地域での緑化活動への支援などを行っています。県につきましては、このトラスト運動を進めるために、先ほど申し上げましたかながわトラストみどり基金を設置しまして、この基金を活用して、貴重な緑地の買入れですとか、維持管理、トラスト運動の推進母体であります財団への助成を行っています。
石川(裕)委員
ちょっと調べましたが、そのみどり財団が昭和60年から進められているということで、その会員も集められている。私もホームページを拝見しまして、資料を見ると平成22年度から平成25年度まで、個人会員数は大体1万2,000人となっており、会員数が個人、家族、法人と結構いらっしゃいます。
しかし、平成26年度になると個人会員が3,809人、約9,000人減っており、家族会員が2万1,000人から6,900人、法人団体も437団体あったのが250団体と極端に数字が落ちているのですが、この理由について教えていただけますか。
自然環境保全課長
今、お話がありましたとおり、財団の会員数ですが、例えば平成26年度末現在はトータルで1万1,328人、平成25年度末は3万7,497人ということで、単年度で約2万6,000人減少しています。その理由ですが、平成24年度にこの財団を公益財団法人に移行しました際に、財団の会員規則を制定しまして、その中で会費を2年間引き続いて納入しないときは、会員資格を喪失するという規定を設けました。それに基づきまして、平成26年度にこの規定に該当する会員を整理したため、数が大きく減ったものです。
石川(裕)委員
2年間の会費が未払いの方の整理をして、実際に会費を払っている実人数が、この約1万1,328人となったということですが、今まで昭和60年からずっと会員を募集していて、一度も整理することはなかったのですか。
自然環境保全課長
御指摘のとおり、今まではそのような整理をしておりませんでした。その理由ですが、会員というのは、財団が県とともに取り組んでいるナショナル・トラスト運動の趣旨に賛同して、財団が行う事業を支援しようとする個人または団体ということで、財団としましては、会費を払っていなかったとしても、一旦は運動の趣旨に賛同する意思表示をしてくださった意思を大事にして、整理するのではなく再び会費を納入して頂き、引き続き会員として支援していただきたいということで、そういう依頼をする努力を重ねようと考えてきたということがあります。
しかし、一方で規定がなく、退会の意思表示がない限り、ずっと会員であり続けるという状況でしたので、やはりそれはきちっと整理をした方が良いだろうということで、先ほど申し上げましたように、公益財団への移行の機会に、会員資格の喪失に関する規定を設けました。
石川(裕)委員
繰り返すようですが、私もこの資料を頂きましたが、この中に会員特典があります。会員特典では、機関誌ミドリの送付や、優待施設の利用でいろいろな施設の優待割引が受けられます。そういう中でいくと、片やお金を納めてちゃんと会員になっている方がいる、片や1回2,000円を納めたが、そこからずっとお金を納めていない人も今までは会員だった。この差というのは、どのように理解をされているのでしょうか。
自然環境保全課長
今、委員からお話のありました会員の特典ですが、例えば会員の特典の一つに機関誌ミドリの送付を受けることができるサービスがあります。この機関誌の送付につきましては、会員に対する財団の活動の周知ですとか、トラスト運動の普及啓発の意味合いもあります。また、その機関誌の送付に合わせて、会費納入の督促状を送るということもありまして、ある程度、長期間にわたって全く会費を払わないという方を除いた方々に、機関誌については送付を行ってまいりました。
一方、お話のありました優待施設の件ですが、会員になりますと、その施設で例えば割引を受けることができますが、会費を払わない方については、利用することができないという制度を以前からしてまいりました。
それからもう一つの会員の特典としまして、これは平成26年度から始まったものですが、例えば財団が主催します観察会などのイベント参加費の優待があります。これにつきましても、会費を払わない方は利用できないということになっています。
石川(裕)委員
最後の事業に関しては当たり前の話で、誘う方がまずおかしいと思うのですが、そういう中で個人会員が何人で、それで何人納めていると、そして団体がどれぐらい納めている内訳も数字として、資料として頂きましたが、平成26年度でもこの人数が合わないのです。整理したといっても、私が計算する中で約500人合わない。この辺について、所管をしている局としてどのように思われているのか、また、今後どのようにこのみどり財団に対して指導していくのか、この辺についてお伺いします。
自然環境保全課長
今、委員の御指摘もありました数字ですが、合わないのは実は間違いではなく、幾つか理由があります。一つは、会員制度の中に5年会員というのがありまして、5年間分の会費を一括して払うと6年間会員になれるという制度があります。会費収入の決算をするときに、その5年会員の方については、5年間分の会費を一括して払った年度に支払った会員としてカウントしております。
また、会員制度の中に家族会員というものがあり、1家族3,000円という会費になっているのですが、これもカウントの仕方があります。会費につきましては、例えば3人家族の方が一世帯入りますと、1家族で3,000円という計算をするのですが、会員数につきましては、3人家族の場合は家族単位3人というカウントをしています。そういったことから、掛け算をしても合わないということがあります。
また、法人団体につきましては1口1万円ですが、何口でもということをやっていますので、やはりそこも単純に掛け算をすると合わないという状況です。
そういったことから、決して間違いではないのですが、ちょっと分かりづらいところがあるかと思います。財団の方でも、いろいろシステムを使って経理をやっていますので、その辺はどういう形がよろしいのか、財団と話し合いをしたいと考えております。
石川(裕)委員
いろいろ御答弁頂きましたが、私の計算でいくと、5年会員が大体500人いるということになりますが、何か極端に5年会員は特別というPRをして、どこかでこの5年会員を増やそうという努力をされた時期というのがあったのでしょうか。
自然環境保全課長
その辺りについては、私の承知している範囲では、特に5年会員だけを特別にしてPRしたということは承知しておりません。
石川(裕)委員
担当の所管の局ということで質問しましたが、緑を守らなければいけないというところは、私も十分理解をしています。是非今後も、そういう会員の方に不公平がないように、払っている人も払っていない人も同じ会員だというのはやっぱりおかしいので、そこをまず十分認識をしていただいて、また、そのみどり財団に対しても指導していただきたいと思います。このことを要望しまして、私からの質問を終わります。