石川裕憲議員 質問の第4は、病児保育事業についてです。この質問に関しては、午前中、先行する会派から質問がありましたが、私も大変重要な事業であると考えますので、視点を変えて質問をさせていただきます。
突然子供が発熱、でも、どうしても仕事は休めない、頼れる人は近くにいない。子供を出産して仕事を始めたときの保育園の待機児童問題と同様に、この病児保育も子育てと仕事を両立していく際の心配事の一つです。私が子供のころ、両親は共働きでありました。小さいころ、風邪を引いたときなどは、両親は働いているため、主に母親が仕事を休み、看病をしてくれていたことを記憶しています。しかし、それは何日もということではなく、少し熱が下がれば、一人子供を残し、翌日からは両親ともに仕事に出かけるという、子供から見れば、寂しくも、心細い時間であったとも思います。一方、親の立場から見れば、病気の子供を残して仕事に出かけることは、心配はしつつも、職場での環境や任されている仕事などで簡単に休むことができない事情があったと思います。知事は、かつてかながわ子育てポジティブキャンペーンの中で、子育て世代に激励のメッセージを送られています。子供を産むのであったら神奈川、子供を育てるのであれば神奈川、そんな神奈川にしたいと、二人の男の子を育てられた事例とともに訴えかけられています。また、子育ては、最初はつらいかもしれないけれども、子供の成長とともに楽しくなってくるものだとも述べられています。 保育園の待機児童の問題はさまざまな施策が打たれ、この5年間での県の待機児童数は減っています。しかし、子供はいつ病気になるかわかりません。そして、働く親の数がふえれば、当然、病児保育のニーズは高まります。また、現在、女性の社会進出やひとり親家庭の増加など社会環境が変化している中で、私はこの病児保育事業の充実が必要であると考えます。
実際に、共働きやひとり親家庭での子育ては、知事のおっしゃるとおり、子供が小さいときはつらいことも多くあります。特にゼロ歳児や1歳児は、いつ熱を出すかもわからない、いつ病気になるかもわからない。子供が病気になれば、仕事を休まなくてはならない。最初は、職場も仕方がないと思ってくれていても、欠勤が続けば、職場から厳しい目で見られ、または責任ある仕事を任せてもらいにくくなるなど、親も苦しんでいるのです。片や、子供が病気のときに、子供を預けてまで仕事に行くことがいいことなのか。職場の環境を整えることが大事であるというご意見があるということも承知しています。私もそれが理想であるし、誰も進んで病気の子供を置いて仕事に行きたいという親はいないと思います。しかし、仕事を失えば、子育てもままならなくなる。特にひとり親家庭ではなおさらです。このはざまに子育て世代は苦しんでいるのです。私は、この病児保育支援事業を県で取り組まれている青森県に伺い、現地を視察させていただきました。青森県の担当部長は医師の経歴を持たれ、ご自身の子育ての経験も含め、この病児保育事業の必要性を訴えかけられ、県議会や市町村、県の医師会と連携をとり、青森県では、病児一時預かりマイ保育所モデル事業を進めています。この事業は、ふだん通っている保育所に病児保育支援員を配置し、あらかじめ登録をしている子供が、熱が38度以下などの一定基準内であれば、体調不良の子供を登園時から預かり、病児保育支援士が保護者にかわって医師に代理受診などを行うというものであります。本県においても、知事のおっしゃる、子供を産むのであったら神奈川、子供を育てるのであれば神奈川であるべく、県としても積極的に病児保育事業に取り組むべきであると考えます。一方、我が県の取組状況はどうかというと、先日発表された県の28年度当初予算案によれば、県内33市町村のうち、病後児を含めた病児保育事業を実施するのは、半分以下の15市しかありません。 子ども・子育て支援新制度の中で、病児保育は市町村が取り組む事業とされているとのことですが、県民の方々にとって、住んでいる地域が違うというだけで、同じ行政サービスが受けられないのは望ましい状況とは言えません。
そこで、知事に伺います。病児保育を促進するために、実施していない市町村に対し、まずは現状や課題を把握するための調査を実施すべきと考えますが、知事の所見をお伺いします。
黒岩知事 次に、病児保育事業についてお尋ねがありました。病児保育は、保護者が就労等の理由により、病気の子供を自宅で看病できない場合に、その子供を病院や保育所等で一時的に保育する事業です。病児の症状がまだ回復していない場合は主に病院で、回復期にある場合は主に保育所でそれぞれ専用スペースを設け、利用人数に応じた看護師や保育士を配置して児童を受け入れています。病児保育は、市町村が地域の実情に応じて実施する事業ですが、全国の実施状況を見ると、平成26年度の実施箇所数は延べ1,839カ所、利用児童数は延べ約57万人で、1都道府県当たりでは39カ所、約1万2,000人となっています。一方、県内では、平成26年度は実施箇所数は延べ47カ所、利用児童数は延べ約2万5,000人と、全国平均よりは多いものの、33市町村のうち14市でしか実施しておらず、十分進んでいるとは言えないのが現状です。 国は、少子化社会対策大綱の中で、病児保育について、平成31年度までに150万人分の受け皿拡大を目指しており、今後、市町村の取り組みを促進していかなければなりません。そこで、病児保育事業を実施していない市町村の参考となるよう、議員のご提案を踏まえ、各市町村の病児保育の実施状況や実施に当たっての課題などを把握するための調査を実施し、今後、その結果に応じ、取り組みを検討してまいります。
石川裕憲議員 働く親にとって、子供が病気になったときの対応は深刻な問題であります。子供を保育園で預かってもらえない、でも仕事にはいかなければいけない、こういう二者択一を迫られる状況が数多くあります。そのようなときに頼りになるのは、病気の子供を安心して預けられる病児保育所だと思います。病気になったお子さんを預けるところがあればと願う保護者は、県内どの市町村も同じだと思います。しかし、現状は、半数以上の市町村でそうしたサービスが受けられない。子育てするなら神奈川と言う一方、県内で住む市町村によって受けられるサービスがまちまちというのは問題であると私は考えます。また、午前中の他会派の質疑の中で、稼働率が低いため採算が合わず、取り組む事業者が少ないとの答弁もありました。ならば、県として、例えば県医師会や病院協会など医療機関の諸団体に働きかけをして、医療機関に病児保育所を設置できないかなど、市町村と連携して検討することも必要ではないでしょうか。今回実施していない市町村に調査を行っていただく旨の答弁をいただきましたが、調査課題を整理していただき、県としてしっかりと病児保育の促進を図っていただくよう強く要望をいたします。