石川(裕)委員
続きまして、いじめ防止対策調査会の答申を受けて質問をさせていただきたいと思います。
川崎で1年前にいじめによる痛ましい事件がありまして、そういう中でこのいじめのことに関して少し触れておきたいと思います。このいじめ調査会が平成26年7月に始まったということですが、この調査会の役割と委員はどうやって決めたのかということを改めて伺いたいと思います。
学校支援課長
 県いじめ防止対策調査会は、いじめ防止対策推進法第14条の規定に基づいて、平成26年4月に県教育委員会の附属機関として設置されました。調査会の役割は、いじめ防止等のための対策を実効的に行うよう、県教育委員会の諮問に応じて調査、審議し、その結果を報告または建議することです。
委員の構成ですが、いじめ防止対策推進法第14条の規定により、諮問答申機関であると同時に、同法第28条に定められております調査組織でもあります。学識委員については国の基本方針で具体的な例示もありまして、弁護士、臨床心理士、精神科医、PTAの代表、大学教授の5名としました。また、要請委員については、現場の代表者、県立学校長会議から2名、県市町村教育長連合会から2名参加いただいており、そのように決定しました。

石川(裕)委員
今、御説明いただいたメンバーの方は、確かにこの答申書の一番後ろに書いてありますが、学識経験者、行政機関の方ということですが、生徒の意見、生徒の要望、生徒の思いというのは、どなたかがこの場で話すような機会というのはあるのでしょうか。
学校支援課長
 この委員会では生徒が話す機会はありませんでしたが、生徒の意見を代表する者として県立高等学校のPTA連合会から代表が入っていただいております。

石川(裕)委員
PTAの方が生徒の思いを代弁するということで、この調査会の中で生徒のそういう思いというのは、具体的にどのような内容のものがあったのでしょうか。
教育監
 今回、県が諮問させていただいた内容は御覧いただいてお分かりになると思いますが、そういった具体的な子供たちの視点からいじめの問題等についての思いですとかを、PTA協議会の方が保護者の立場として代弁されているという場面ならありました。

石川(裕)委員
その保護者の立場で結構ですが、具体的にどのような御提案といいますか、御提言があったのでしょうか。
教育監
 御提言というよりは現状ということで、子供たちがどのようなことで悩んでいるとか、学校の今回のいじめ防止基本方針等が制定される中で先生方とのやりとりですとか、やはり子供たち自身が、自分たちが当事者になったときにどのように対応していったらいいかとか、直接的な意見はなかなか難しいですが、それを保護者の立場で代弁されていた状況です。

石川(裕)委員
そういう中でこの答申に目を通させていただくと、いじめられる側のことは書いてありますが、いじめる側のことについてはほんの少ししか触れていない。実際に加害児童に対して、たとえばですが、大阪では出席停止していじめの個別指導教室みたいなところに指導に行かせるようなことがあると思いますが、この姿勢について大阪市の事例に関しては県としたらどのように思われているでしょうか。
学校支援課長
 もちろんいじめが起こった際には、いじめ被害者の保護が第一優先です。ただ、今回のこの委員会においては、まず答申の前半でいじめの定義が変わってきたことで、たとえばですが、いじめた側とされる者が好意で行った場合でも、いじめられたとする側が苦痛に感じていたとした場合には、これについてはいじめであると認識して対応しなければいけないと、まず前半で述べております。このようなことがありまして、大阪の件というよりも、いじめの問題については加害者側にあまり記述がないということでしたが、そのような認識で記述はされているものと思っております。

石川(裕)委員
大阪の件についてはどう認識をされていますか。
学校支援課長
 被害者側を優先するという面では同様に認識しています。優先するというか、まず第一に保護すべきということでは、同様と認識しているものと思っております。

茅野委員(関連質問)
大阪のその個別指導教室というのは、ある意味でその環境を変えてあげる、その言い方が正しいかどうかの確認ではないが、しゅん別をするという方法でその生徒を指導するという形の中で、被害生徒と加害生徒をそこで分けるという認識が個別指導教室にありますが、先ほど言われたことは若干違うと思います。そこで、大阪の形態は神奈川県においてそれを採用するしないはともかく、どのように考えているのか。もう一つは、そういうことも今後の方法としてあり得るのかという意味合いで、私は疑問ですが。
教育監
 本県ではいじめは絶対にあってはならないと、それが基本的な考え方です。いじめが起こった場合には、被害の生徒をまずは守るという姿勢で取り組ませていただいております。そういった観点からすれば、今、茅野委員が御指摘したように、個別に分けるという必要性も出てくると捉えています。ただ、丁寧に子供たちの状況をそれぞれ聞き取りながらの指導の段階で、そういった対応が必要であればとっていくという方法もあろうかと思います。
ただ、冒頭でもお話しして繰り返しになりますが、まずはいじめられた子供たちの安全を守るという視点と、いじめは絶対にあってはならないというこの2点が基本姿勢になりますので、その基本姿勢に沿って指導が行われていると考えております。
茅野委員
 今、教育監の言っていることは分かりました。
ある形態によっては、県としてもいろいろな形態をとっていると理解しました。ある意味で個々の事案によって違うから、こういう形での個別指導教室ということは捉えていないが、でも同じような形態のものもあると捉えましたので、そういう意味でこれもそう思いました。

 石川(裕)委員
そういう中で、今回、いじめ情報を故意に隠蔽した教職員を懲戒処分の対象にすると定められています。いじめの兆候に気づいた教職員に積極的な報告を求めるのは、これは当然だと思いますが、これで迅速な対応につなげる狙いが、この対応について県として教職員に懲戒処分の対象になるということを伝えることによって、これが迅速に教育委員会に報告がくるという認識で定められたということでしょうか。
学校支援課長
 今回の法の成立によりまして、県ではいじめ防止の基本方針を作成しております。その基本方針では、いじめが発生した場合には、あるいはいじめの疑いがある場合には、必ず学校から県教育委員会に報告がなされるものと定めております。今回のこの報告書においても、いじめについては法で定めるいじめの定義について変更になりましたことから、いじめが起こること自体を非難するものではありませんが、いじめを隠したり、あるいは対応を怠ったりすることは非難されることであると記述しております。

石川(裕)委員
いじめ情報を故意に隠蔽した教職員を懲戒処分の対象にするというのは、これは事実あるということでよろしいですか。今の段階ではないのかあるのか。
学校支援課長
 今の段階でいじめを故意に隠蔽した場合に懲戒処分ということは、現時点ではないと認識しております。

石川(裕)委員
では隠蔽した場合、こういう懲戒処分の対象にはならないということでいいですか。
行政部長
 懲戒処分に当たっては、職員の動機とか、行為の対応、結果への影響等があります。今、委員のお話にあったように、結局、処分を行うかどうかは個々の事案ですが、当然、懲戒処分となり得る場合もあり得るということです。

石川(裕)委員
それぐらいやっぱり先生も大分変わってきて、隠蔽するという先生もいらっしゃらなくなっているとは思いますが、もしそういう先生がいたならば、教育委員会としても厳しい態勢で臨んでいくということがあっても私はいいと思いますので、その部分は是非お願いしたいと思います。
最後は要望になりますが、いじめを受けた生徒も大事ですが、いじめを行った生徒に対しても家庭環境があったり、様々ないじめを行う背景もあると思います。前回の常任委員会で話しましたが、それこそ小中一貫校とかそういうところが生きてきて、それで先生も、生徒もある意味で連携をとって、先生は小学校から中学校まで見続けられる、こういう仕組みが大事だと思いますので、是非いじめに対しても毅然と取り組んでいただきたいのと、そういう意味で小中一貫校も生かしていただきたいと思います。