石川(裕)委員
かながわグランドデザインの評価報告について、質問をさせていただきたいと思います。
まず、総合計画審議会において、全てのプロジェクトについて順調ないし概ね順調という評価を受けておりますが、まずこれの受け止め方についてお伺いします。
総合政策課長
総合計画審議会における評価ですが、一部に目標達成できなかった数値目標がございますが、プロジェクトの狙いの実現、形づくりについて、県として着実に取組を進めましたことから全体としては概ね順調との御評価をいただいたものと受け止めさせていただいております。
ただ、総合計画審議会から、全てのプロジェクトについて評価報告書の最終評価の欄に記載をされているとおり、今後の取組について様々な御指摘を頂いております。今後の政策運営に反映して、より一層効率的、効果的な政策運営を図っていけるよう取り組んでまいりたいと考えてございます。
石川(裕)委員
そういう評価が概ね順調、順調という中で、当初の目標の立て方について少しお伺いしていきたいと思うんですが、まず、全体的にこういう概ね順調、順調ということであったとすれば、もともとの目標とする数値が1年目でこれだけ順調、概ね順調というのはなかなか出てこないと思うんですが、そこの数値が低かったということはないんでしょうか。
総合政策課長
かながわグランドデザインの第2期実施計画では、プロジェクトごとに県の取組の成果が表れる複数の数値を数値目標として設定をさせていただいております。
設定する指標としては、単に行政施策として何をやるかという、いわゆるアウトプット指標ということではなくて、それが達成されることで広い意味で県民福祉の向上につながるという、いわゆるアウトカム指標をできる限り設定するということで決めさせていただきました。
数値目標の水準については、計画策定時における財政状況ですとか、活用可能な資源なども勘案しながら、プロジェクトの狙い、こういったものの実現に向けた4年後の目指すべき姿を表す指標として設定をさせていただいているものでございまして、あらかじめ低く設定をしているということはないというふうに考えてございます。
さとう(知)委員(関連質問)
今のこの点について関連で質問をさせていただきたいと思いますが、例えば、マグカルというのは、そもそもブロードウェイのまちづくりというコンセプトがあって、それが発展してマグネット・カルチャー化されてまいりました。事務事業の達成度であれば、こうした評価も成り立つかもしれませんが、今言われたように、例えば、アウトプットではなくてアウトカムの視点で見れば、この県庁周辺を数年以内にブロードウェイのようにするといった思いが地域の目指すところであろうと、それこそがアウトカムではないかなと認識しています。
マグネット・カルチャーというのは、マグネット力を持った地域を文化の力でつくるとするならば、例えば、発表機会の確保といったことも重要ですが、それは、あくまでも副次的なものであって、マグネット力を持った地域をつくることこそが、アウトカムにつながるんではないかなと思っています。
また別のエネルギーについて言えば、圧倒的なスピード感で太陽光電池の普及を図るといったことが根本にあると思いますし、何が言いたいのかというと、例えば、黒岩知事の目指す熱い思いが、当局が受け止めきれていないのではないかな、つまり、知事の目指しているのがどの程度の達成目標を100%の評価指標ではない、もっとチャレンジングな指標や目標であって良いと思うんですが、もう一度県としての見解を伺います。
総合政策課長
今回の数値目標設定に際しましては、当然毎年度数値がとれるもの、それで、できる限りアウトカム指標であること、それから、それぞれの複数の数値目標を複合的に見ることによって、そのプロジェクト全体がどのように進行しているのか、そうしたことを評価できるような数値目標の設定をさせていただきました。
そうした中で、今マグカルのお話が出ました。今回マグカルについては、パフォーミングアーツの受講数とそれから、県民ホール等の利用者数ということで設定をさせていただいております。我々としても、知事の思いを受け止めながら、できるかぎりマグカルというものが全県展開していくということですが、なかなか数値目標で捉えていくというところの難しさは確かにございます。そうした中で、どういった数値がとれるのか、毎年とれるのか、それがアウトカムになるのか、その辺を我々としても試行錯誤しながら取り決めてまいったところです。
数値目標の在り方については、我々としても最大限できる範囲の数値目標を部局の方でも提供していただいていると考えておりますが、今後いろいろ頂いた意見については、次期の実施計画の変更時なども見据えまして、検証、研究をしてまいりたいと考えてございます。
さとう(知)委員(関連質問)
今言ったアウトカム、アウトプットという言葉がありますが、このグランドデザインの評価報告書をアウトカム指標で見ているということですが、例えばこの中で、どういったものをアウトカム指標として捉えているのか、一例を挙げて教えていただけますでしょうか。
総合政策課長
例えばですが、高齢者福祉などにおいて、コグニサイズ、認知予防のイベントの参加者数を入れさせていただいていますが、それ以外にもいろいろアウトカムもございますが、基本的には、その事業を実施したことによって、それに参加された県民の皆様は、その便益を受けることによって、それぞれの方が自分の生活を変えていったり、考え方を変えていったりというような形で将来的に社会にとって良い方向に向かっていく、そういうような指標をアウトカム指標というような形で対応させていただいているところです。
石川(裕)委員
そういう中で例を挙げてお伺いしていきたいと思いますが、まず、このグランドデザインの評価報告書の24ページの障がい者福祉のところに、障がい者だけでなく、全ての県民が安心して快適に生活でき、自由に外出することができるよう、駅のホームドアやエレベーター設備の支援、段差のない歩道整備等、主な取組の成果として書かれています。その27ページの県民ニーズの動向というところでは、鉄道や道路、建物がバリアフリー化され、誰もが安心して移動・利用できる、人にやさしいまちになっていると思わない人の割合が前年より増えているという結果が出ていると思うんですが、実際にこのホームドアとかエレベーターというのはこの2015年どれぐらいつくられたというのは、数字は把握されているんでしょうか。
総合政策課長
まず、ホームドアやエレベーター設置への支援についてということですが、ホームドアの設置への支援については3駅、エレベーター設置への支援については2駅となってございます。次に、段差のない歩道整備については、52箇所の整備を行っていると所管局の方から伺っております。最後に、都市公園施設のユニバーサルデザイン化については、県立観音崎公園の1公園というふうに所管局から聞いているところです。
石川(裕)委員
今の数字を所管局から伺って、どう捉えていらっしゃいますか。
総合政策課長
こうした取組というのは、一つ一つきちんと前に進んでいくことがだというふうに考えてございます。そうした中で、ここの部分、数値目標にはなってございませんが、県民の皆様のために一つ一つ進んでいくということは、重要なことではないかと捉えているところです。
石川(裕)委員
もう一つ伺いたいと思いますが、高齢者福祉の点ですが、特別養護老人ホームの整備床数というのについてのところですが、目標が3万4,300床で実際が3万4,261床で99.8%の達成率という結果になっています。
そういう中で、その1段下は、先ほどお話ありましたコグニサイズ、ここは7,000人の目標で1万9,267人の成果、達成率が275%を超えている数字になっていますが、普通の県民として、正直、私も川崎市から選出をいただいていますが、特別養護老人ホームがこんなに充足しているという話を聞いたことがないですし、ある特別養護老人ホームでは、もう1,000人以上の待機をされている方がいるという話も伺っています。そういう中で、この目標が3万4,300床で、それで3万4,261床で99.8%です、これで、概ね順調ですという、この数字のつくり方が、私はおかしいんじゃないかということを伺っているんですが、この辺についてはどう思われますか。
総合政策課長
数値の目標について、水準の置き方ということについての御質問であるというふうに受け止めさせていただきます。
今、特別養護老人ホームの待機の状況についてということでお話がございましたが、現状で、県内での特別養護老人ホームの待っていられる方も多数いらっしゃるという現状はあろうかと思います。
そうした中で、この水準というものについては、先ほども申し上げましたとおり、現状からまず始まってその上で4年間このかながわグランドデザインの期間をとってございますので、その4年後の目標を立てながら、それに向かって取り組んでいくというような水準の数値ですので、当然、まずは現状を踏まえながら、4年後に目指すべき数値、そして、そのことによって、例えば、高齢者福祉ということであれば、プロジェクトの狙いとして書かせていただいております、高齢者が安心して元気に暮らせる地域づくりですとか、高齢者の健康・生きがいづくり、こういった目標を達成できるような、そういった数値になるよう所管局とも相談させていただきながら設定をさせていただいているところです。
石川(裕)委員
生きがいも大事ですし、健康で長生きするということも大事だと思います。でも実際に今困っているのは、特別養護老人ホームに入りたくて、でもその地域で入ることができないので、だったら神奈川県全域に広げようと思ったのにそれでも入れない。だったらほかの県に行くしかないという状況が実際にあるんです。そういうことを今県民は望んでいるのであって、確かに健康で長生きすることも望んでいる部分があると思います。でも、そのことによって、私どもの会派でも一般質問でさせていただきましたが、無認可のそういう老人ホームのところに、有料老人ホームに頼らざるを得ない方がいらっしゃったり、そういうことがあるから、まず、ここのところの目標数値というのが3万4,300床ですが、これは違っていたら教えていただきたいんですが、こういう老人ホームがこれだけできますよという計画があって、その床数の数をただ挙げただけであって、それをこれ以上にというような、こういう目標の数値の立て方なのではないのではないかと思うんですが、その辺についてはどうでしょうか。
総合政策課長
特別養護老人ホーム整備床数の数値目標の件については、確かに今の段階では目標として3万4,300床となってございますが、見ていただきますと、2018年度に向けて3万8,000床に床数を増やすことによって、何とか県民の皆様の期待に応えられるように、その4年後の目指す姿を目指しながら取り組んでいきたいという思いでやっておりますので、当然、今の段階の数値の問題、それと4年後の数値の問題というのはあろうかと思いますが、それは、今回のかながわグランドデザインの第2期実施計画をつくるに当たって、柱を立てるときにも、4年後の目指すべき姿をきちんとつくらせていただいた上で、御議論させていただいてやらせていただいたと考えてございますので、数値目標を一つ一つ達成することによって、また4年後の目標の数値を達成することによって、県民の皆様に、例えば、特別養護老人ホームであれば、県民の皆さんの福祉に資するようなものになるよう取り組んでまいりたいという思いでつくらせていただいたものです。
石川(裕)委員
神奈川県で特別養護老人ホームを待機されている方が多数いらっしゃるとおっしゃっていましたが、どれぐらい実際にいらっしゃるのかということと、それに対して、この3万8,000床という数字が適正な数字なのか、目標として3万8,000床というのはいいんですが、ただ、どれだけ待っているから、どれぐらいまでいくんだというようなことをきちんと挙げなければいけないので、その差というのはどれぐらいあるのか伺います。
総合政策課長
平成27年4月1日現在の数値ということで申し上げますが、県内の特別養護老人ホームをお待ちになっている特養待機者の状況ということで所管局の方から伺った数字で御理解いただければと思いますが、2万1,275名と聞いているところです。
石川(裕)委員
それに対して2018年の3万8,000床というこの目標数値というのをどう捉えていらっしゃるのか伺います。
総合政策課長
お待ちになっている方が2万1,275名ですので、これから3万8,000床ということになりますので、今後の人口の動向等いろいろあるかと思いますので、その辺について一概に今の段階でこの3万8,000床と3万4,000床という差額がどうなるかというのは分からない部分もあります。その辺については、私ども総合政策課の立場から言うと所管局の方では最大限努力している数値なのではないかと捉えているところです。
石川(裕)委員
少し理解はしがたい部分もありますが、担当の局も違うということなので、この辺で質問を変えさせていただきますが、そういう中で、もう一つコグニサイズ等の7,000人という目標に対してですが、これの目標の達成率が275%についてはどう捉えられていらっしゃいますか。
総合政策課長
コグニサイズの目標値が275%と高かった理由ということですが、計画の策定段階では、コグニサイズをテーマとした掲出やイベントについて、県による実施を主に見込んでございましたが、更に取組を広く展開させるために、市町村などの協力も得て事業を実施することになったと所管局の方から伺っております。
その結果、2015年度は県内全ての市町村や民間事業者にも協力を得まして、カタログやビデオやイベントの機会を積極的に活用して、コグニサイズなどの取組を広く展開することができたので、目標を大きく上回る結果となったというふうに伺っております。
ただ、これは計画の最終年度である2018年度の目標を見ていただきますと累計で10万人となってございまして、これを達成するには、今後3箇年で更に約8万1,000人の参加を求める必要があるという状況でございますので引き続きしっかり取り組む必要があると考えているところです。
そういう中で、もう一つ例を挙げると15ページのところでマイ未病カルテの利用者数のところも目標数値が0.1万人から0.3万人で達成率が300%という数字になっています。逆に、この目標数値が大きく達成をして、それこそ今年の目標さえも超えているというか、近づいているというところの目標については、例えば今年引き上げようとか、もしくは、5年後の2018年までの目標数値をもう一回見直して上げようとか、そういう取組をされる予定はあるんでしょうか。
総合政策課長
かながわグランドデザインの第2期実施計画については、2018年度までの事業という形で事業費がなっております。達成すべきプロジェクトの狙いなども明らかにした上で、数値目標を設定させていただいているということですので、この4年間後の目指すべき理想の姿というのが、2018年度の数値目標としてお示しをさせていただいているということですので、この1年間でその目標を達成したから、あるいはそれを下回ったからというのではなくて、4年間をトータルで見た上での考え方で立てていきたいと思っていますので、経過期間中の一時的な変動を基に数値目標を変更するということは、現時点においては考えていません。
石川(裕)委員
2018年までの目標数値を前年までにクリアしてしまった場合の数字の立て方というのはどうなんですか。
総合政策課長
施策の推進に当たりましては、目標値が達成された場合であっても、取組の数字を下げることなく、新たな目指すべき姿を検討するなど更に高い成果が挙げられるような取組を進めていく必要があるんだろうというふうに思っています。また、数値目標が達成できない場合には、事業の推進方法などについて必要な見直しを行うなど、目標の達成に向けて最大限の努力をしていく必要があるだろうと思っています。
ただ数値目標については、今年は1年目ということでもございますので、基本的には今の段階では数値目標は変更しない予定です。既に達成してしまっているということでありますが、また翌年度の数値目標は上がっている部分もございますので、そうしたところを4年間の長期のスパンを見ながら取り組んでいくのかなと考えているところです。
石川(裕)委員
私が聞いたのは、2018年の目標数値が例えば100だったとします。それが2017年でもう100になってしまいました。そうしたら、2017年から2018年の間の、この100から100の間の目標はゼロなんですかという意味です。ここを例えば120にするとか、そういうより上にステップアップするような数字の目標は立てないんですか。特に特別養護老人ホーム等は、もっと上を目指していってもらいたいわけです。達成するのは難しいから、こういう慎重な数字になっていると思うんですが、これを超えたときにその上を目指すということはないんですか。
総合政策課長
2018年度の目標を既に上回ってしまった場合ということだと思いますが、その上回った時期なども一つの考え方によってくるのかなとは思いますが、相当早い時期にそういった事態が生じた場合については、改めて検討する場面もあるのかなとは思いますが、現時点では、まだそういう状況には立ち至っておりませんので、目標値になりますが、4年間を見ていきながら数値目標の達成に向けて取り組んでまいりたいと考えてございます。
石川(裕)委員
最後、要望になりますが、2018年度の目標に向けて、今、1年目は順調もしくは概ね順調ということで進んでいるということでありますが、できれば先ほどの特別養護老人ホームの話ではないですが、そういうところの県民ニーズをしっかりと把握していただいて、需要と供給ではないですが、健康で長生きすることも大切ですが、今困っている人が実際にいるんだということを認識していただいて、そういったかながわグランドデザインにしていただきたいと思います。