石川(裕)委員

次に、平成27年度給与改定に伴う差額支給に係る所得税等の取扱いに関する誤りの発生について伺います。
これについて、我が会派も重要な案件だと思いますので、この質問をさせていただきたいと思いますが、まず、これまでも給与改定というのはあったと思うんですが、その差額支給というのは過去にあったんでしょうか。あったとすれば、同様の問題はなかったのか伺います。
会計課長
 平成になって以降の状況を確認しましたところ、平成17年度及び26年度の1月に差額給与が支給されておりましたが、いずれも12月中に条例改正を提案し御議決いただいているものです。そのため、国税当局の言う議会の議決日が年内であることや、今回のような原則以外の方法について検討する必要はなかったという状況です。

石川(裕)委員
そういう中で、今回、原則ではなく例外的な取扱いで進めようという話があったと思うんですが、最終的に庁内での調整はどういうやり方をされていたのかというところと、最終的にこれでいこうという判断はどなたがされたのか伺います。
会計課長
 庁内の給与管理者やシステム所管等の関係部署とは事前協議しながら処理方法に向けて検討を進めていました。
その検討の中では、原則どおり所得税の処理を行うのは、これまでとは異なり、そのための人事給与システムの改修を行った上で、差額給与分が発生します給与の修正を毎月手作業を組み合わせて処理しなければならないことが分かりました。そこで、こうした事態を何とか回避できないかということが課題となっておりました。
そうした中で、会計局が県労連との合意の差額給与の支給が確定した日の根拠として、差額給与を平成27年分と28年分に分けて処理できると判断し事務処理を進めたわけです。
会計局長
 それに関して、誰が判断をしたのかという御質問ですが、今回の判断に当たりましては、税務署との事前の相談も踏まえまして、例外的な処理もあり得ると会計課長が考えまして、会計課長が方針を決定いたしまして、会計局長に報告をし了解をしたということです。

石川(裕)委員
そういう中で、担当の課長そして局長が判断をされたということですが、税務署とのいろいろな指導を受けて、その中で税務署と相談をしながら進めていたということだと思うんですが、どのようなやりとりがまず税務署とあったんですか。これでできますよみたいな前向きでいけるのではないですかというような進め方だったのか、いやいや、少し慎重になられた方がいいですよというような進め方だったのか、この辺をお伺いしてよろしいでしょうか。
会計課長
 税務署には、12月28日に事前に相談に行っております。その際ですが、所得税法の基本通達に記載の差額給与の収入時期は、給与改定の効力が生じた日の解釈の原則上の意味は議会の議決日であるということでしたが、やり取りの感触から、ほかの根拠があれば例外もあり得ると受け止め、これを受け原則は議会の議決日と認識しつつも、解決策としては例外的な判断もあり得ると考えまして例外の根拠を検討したところです。しかしながら、結果的には国税当局からこの例外は認められなかったということです。

石川(裕)委員
税務署的には、積極的にというか、こういうこともあるのではないかということで提案をされたというか、そういう話合いがあったというふうに認識をしましたが、そういうことは置いといて、今回、これ自体が起こった後、修正が必要だと伺っています。この修正をするに当たりましては、費用というのは発生するものなんでしょうか。当然、それで駄目だということで人的なことやいろいろなことを回避するためにこの方策をとったが、結果駄目だったということだということは、今回は人海戦術でこれを進めていくとか、そういうことに関しては今後どういうふうに対応していく予定なのでしょうか。
会計課長
 まず、この修正のやり直しに必要な経費ですが、再発行します源泉徴収票の紙代が、1回分約15万円です。4月に発行し、さらに今後処理をやり直したときに発行しますので、2回合わせて約30万円が必要となります。それ以外の経費については、現在は具体的な修正作業の方法を検討中であることから、現時点ではどのぐらいになるのかということはまだ分かっておりません。
また、労力についてですが、確かに修正作業には労力がかかることになりますが、これも、具体的な修正作業の方法を見ないと現時点ではどの程度かかるかというのは分からない状況です。ただ、仮に当初から原則どおりの所得税の取扱いを行っていたとした場合に、システム改修をした上で差額支給後に発生する給与の修正を手作業と合わせて修正しなければならなくなりますので、こうした本来原則どおり行っていればかかるであったであろう経費との比較も必要であろうと考えております。

石川(裕)委員
紙代とかそういう問題なのかなと思いますが、報道によりますと会計局長自らが市町村に謝罪に回られたということもあったということですが、これは33市町村全部回られたのかということと、そもそも県の職員の方が住んでいる市町村というのは、本当に全部の市町村あるのでしょうか。その辺も認識して回られたということですか。
会計課長
 私ども会計局の幹部職員は、5月18日から23日までの間に直接訪問しておわびと説明に回っています。まず県内の33市町村についてですが、市については、ほぼ全て回っています。また、町村については、5月23日に町村の住民税の所管をする課長さん方にお集まりする会議がございましたので、そちらに会計局長が直接行きまして、おわびと説明をいたしました。そのほかに、県外の市については、東京都で八つの市区がございましたので、そちらには、同様に直接お邪魔するということで連絡をしましたが、そのうち四つの区からは、電話をした時に来なくていいと言われましたので、現実には東京都の四つの市に直接おわびと説明に伺っています。

石川(裕)委員
例えば、民間企業との比較をされている部分がありましたが、これは、同じことを民間企業がやった場合、例えば会社の社長が各市町村に謝りに行くとか、そういうことはあるんでしょうか。
会計課長
 民間企業と私どもは、いわゆる職員からの特別徴収をして、各自治体の住民税をお支払いするという立場では同様ですが、民間の企業がこういう場合に直接訪問しておわびする事例があるのかということについては、承知しておりません。

石川(裕)委員
神奈川県としては、各市町村もしくは東京都に対しても真摯に謝罪をしに回ったということですが、まず、今回こういうことが起こって、先ほども費用は15万円とか30万円とかという話でしょうが、これは別にもともとは使わなくていい税金をまた新たに使うというようなことになるかと思うんです。市町村の担当部局に対しての謝罪等は分かるんですが、今回こういう事態が起こったことに対する県民への説明とか、もしくは謝罪というか、このことについてどのように捉えられているのでしょうか。
会計課長
 確かに、今回私どもの不手際により修正作業をやり直すことになりまして、それについて経費がかかる点については、まことに申し訳ないと思っております。

石川(裕)委員
県民に対してどういうふうにお伝えをしていくのか聞きたい。報道でいけば、もう県庁のミスというようなことが書いてありましたが、そうではないんだと、こういうことで、こうこうこうだったから、こういうことになったのですみませんというような通知と言うか、謝罪というようなことは考えられていないということでよろしいですか。
会計局長
 私ども県としましては、県民の方からの税金を頂いて仕事をしているという立場ですので、そういう中では、職員の税金を納める手続の中でミスを犯してしまったということについては、県民の皆様の信頼を損ねるということにつながったと思っています。
今回問題となりました事案ですが、職員の所得税の源泉徴収の手続に関わる事務でございまして、県としましては、源泉徴収義務者として職員の給料から税金を天引きして、これを所得税であれば税務署に納める、住民税であれば市町村に納めるという事務の中での誤りということで、今回の誤りによって直接御迷惑をお掛けするのは、まず税金を払う側の職員と税金を受け取る側の税務署と市町村に直接御迷惑をお掛けするということで、まずはその段階で両方の立場の方々におわびをしたものです。
正に、修正作業に伴いまして、プラスアルファ等の仕事というのが出てくるのは確かです。そうした県民の方へのおわびという意味では、今回、改めて議会の方に状況を報告させていただいておわびをさせていただいたということです。

長友委員(関連質問)
関連してなんですが、今、会計局長が答弁されたんですが、直接なのは職員の皆さん方だとか市町村だというのはそのとおりだと思うんですが、ただ、具体的に言いましたが、信頼を損ねるというのは確かにそのとおりだと思うんです。これはもう御承知の話ですが、特別徴収の完全実施を今年度始めたばかりなんです。
今回のミスと特別徴収の完全実施というのは直接は違いますが、小さな企業の方は、特別徴収がここで始まったということで、正に努力をしていただいている最中のこの報道だということは、余りにもタイミングが悪いと言いますか、税金を取り扱っているところでさえ、こういうことあるではないかというのは、おのずと出てきて当たり前ですという、認識をまず持っていただかないといけないと思います。
その上で、6月4日土曜日の夕刊に報道として掲載が各紙にされていました。私はネットニュースで見て驚きました。これは、なぜこの日に報道されたんですか。
会計局長
 その点に関しましては、報道機関の判断かと思いますので私も知らなくて申し訳ございません。
長友委員(関連質問)
 私の想像を申し上げます。想像ですので、違ったら報道機関の方にはおわびをしに行かなければいけないことだとは思うんですが、6月2日に職員に対して文書で状況の説明をしたという説明がありました。これは、6月2日に職員に対して、掲示板というんですか、6万2,000人の方が見られるのか私は知りませんが、掲示板で差額支給を受けた県職員及び県費負担教職員の皆様へおわびとお知らせというものが掲載されたから、これで、文書でおわびを伝えたという意味なんだろうと私は想像しているんですが、私もそれを実は持っているんですが、どういうふうにしたかは知りませんが、そういう話を聞いたか、物を見たか知りませんが、それで6月4日になったのではないかなと想像を私はしているものです。
そこで、少し遡ってみたいと思うんですが、そもそもこの文書も国税当局への確認が必要となったことからとか、確認が終了したとか、こういうふうになっているんですが、これは、その前の4月27日に各所属長宛てに一時停止の依頼というものが同じように掲示板に出されているんですが、これには、税務署との取扱いを再調整しているというふうになっていたと。再調整をしているのと、国税当局の確認が必要になったというのは、言葉としてはこうではないですよね。
12月28日に中税務署への事前相談に行かれたというお話も先ほどの答弁でありましたが、この事前相談を受けて再調整があるぞと、こういう意味合いなんだろうなと思いますが、これらを通して県会計局がこの件について出していることについての受け止め方は、考え方、体質が少しここで感じられるのかなと思うんですが、すなわち、さっきの石川委員の質問でありましたが、正式な形で、実は今回は初めて議会で説明をいただいたので、そのこと自体は悪いとは申し上げません。この場でやっていただくというのは大事なことだと思うんですが、報道があったからこういうふうになったのではないのかと感じてしまうんですが、あるいは、報道がなければ公表する意思がなかったのではないかとも受け止められてしまうんですが、今日の時点では、このことについて県のホームページにも載っていませんが、この辺はいかがでしょうか。
会計局長
 公表という観点で申し上げますと、私どもの方としましては、御迷惑をお掛けする市町村職員に対しまして、速やかにお知らせするという意味でそういう観点での公表というのはさせていただきました。また、議会への報告についてもこれの事案に関しましては、対策等なかなか解決方法というのはきちんと伝えられない中、日々いろいろと庁内で検討している中で議会への報告の内容も含めて正に検討していたところでございました。
そういう意味で、このタイミングで何をどういう形で報告するかということをちょうど我々内部としては検討していて、本日の常任委員会を目指して、この時点で御報告できる内容は最低限御報告させていただくということで、今日、おわびと併せまして報告させていただいたところであります。
県民の方々に直接という意味では、まだそういう形での発信というものはしておりませんが、本日の報告の後、速やかにその辺の情報は検討させていただきたいと思っております。

長友委員(関連質問)
 先ほど来もありましたが、範を示す立場であるわけであります。市町村に対する、あるいは職員の皆さん方に対することをそれぞれ5月23日、あるいは6月2日に行われているということですが、マイナスイメージを含めて、神奈川県というのはそんな程度なのという意味も含めて、決してこれでおしまいではなくて、やっぱり県民、神奈川県全体にも影響がある話だということは、是非御認識をしっかりしていただかないといけないのではないかと思います。
今の答弁を受け止めたいと思いますが、報道があったからこういう事態になったのではないかなと感じることがあると思うんです。やはりその事象が起きた日、あるいはその事柄の区切りのところでしっかりと示す必要があったのではないかと思います。そこに考え方や体質が見えてくるのではないですかというふうなことを申し上げて終わりにしたいと思います。

石川(裕)委員
今回の処理の誤りは、様々な経緯があって税務署との調整もあったようですが、結果的に県の処理は認められず、市町村や職員はもちろん県民にも迷惑を掛けたと理解しています。このことを重く受け止めていただいて、今後二度と同様の事故がないように強く指摘をしておきたいと思います。