石川(裕)委員
 先行会派から質問がありましたけれども、いじめ・暴力行為及び不登校への対策について、視点を変えて質問をさせていただきたいと思います。
 被災地から避難していた横浜市の中学校1年生が、小学校時代にいじめを受けたという問題が、福島県からの被災児童に対するいじめの重大事態という捉え方で連日報道され、全国的な社会問題となっています。報道によると、横浜市教育委員会は生徒側からの保護者の申入書を受け、いじめ対策防止推進法に基づき第三者委員会に諮問し、調査を行っていたとのことであります。そこで、県教育委員会の取組やいじめの重大事態について何点か伺ってまいります。
 東日本大震災により、平成28年度神奈川県内にどれくらいの児童・生徒が避難してきているのか伺いたいと思います。
子ども教育支援課長
 東日本大震災により本県に転居し、平成28年5月1日時点で県内の市町村立小中学校に在籍している児童・生徒が426名でございます。

石川(裕)委員
 その児童・生徒に対してあるいは在籍する学校や市町村教育委員会に対して、県教育委員会はどのような取組を行ったのか伺いたいと思います。
子ども教育支援課長
 今回の横浜市の事案を受けまして、先ほども御答弁いたしましたとおり、まず通知文書、11月11日付けで、さらに11月21日付けで各市町村教育委員会あるいは学校に通知を行いました。また12月5日には、全ての市町村教育委員会の指導主事を集めての臨時会議では先ほど答弁いたしました現在県内小中学校に在籍しているそういった避難してきた児童・生徒の現在の状況を改めて各市町村、学校で確認していただく旨といたしまして、在籍する被災児童・生徒が現在いじめを受けていたり指導中の事案がないかということについて、当該校へ状況把握をお願いしたところでございます。

石川(裕)委員
 その通知により、今聞き取りが行われているということですけれども、後追い調査は、大体どの時期を目どに期限を切ってやられる予定なのか伺いたいと思います。
子ども教育支援課長
 12月5日に各市町村の方にお願いをいたしました。この状況把握の調査を行うに当たっては、何よりもその対象の児童・生徒の今の気持ちですとか、状況に配慮しています。聞き取り、状況把握の方法を一律にこうやってくれということではなくて、各学校の方で十分そこを配慮し、優先しながらいじめがないか確認してほしいという依頼をしたところでございます。そのため、今集計には若干時間を要しておりますが、本日の段階でいえば、現在33市町村のうち横浜市を除く32の市町村において、対象児童・生徒状況把握を確認をいたしました。現在のところ、同様のいじめの事案、指導中の事案は、現在のところ認められないということで報告はございませんでした。
 なお、今横浜市についても鋭意調査中でございまして、間もなく県に報告が来るものと聞いております。

石川(裕)委員
 もうすぐ冬季休暇に入る時期でもありますので、夏季休暇明け、また冬季休暇明けがまた一つの大事な時期だと思いますので、スピード感を持って対策、そして調査を行っていただきたいと思っています。
 そういう中で報道によりますと、11月17日に都道府県、政令指定都市の教育委員会生徒指導担当者などが集まる会議があり、その場で文部科学省から今回の横浜市の経過の説明とともに、原発事故に伴って避難している児童・生徒への対応や重大ないじめが起こったときの対応について考え方が示されたという報道がありました。これは、どのような経過説明と対応の考え方が示されたのか伺いたいと思います。
子ども教育支援課長
 今委員からお話のありました会議につきましては、一つは、横浜市の事案を受けた内容の部分も含まれておりますが、もともと定例の会議として、いじめ問題について全国の担当が協議する内容のものでございます。その中で今回の横浜市の事案について、文部科学省の方から概要の説明があり、基本的には各都道府県の方に示された改めていじめの対策について取組を再点検するようにという内容は、これまで法律ですとか基本方針に定められたものと同様のものでございます。また、あわせて先ほどから御質問いただいているように、避難している児童・生徒に特段の配慮を行うように、これは平成23年、文部科学省から何回かに分けて各都道府県に示された通知がございますが、それに基づいた改めての各都道府県での配慮を促す要請があったところでございます。

石川(裕)委員
 また11月18日に、文部科学大臣から記者会見でメッセージが発信されています。是非道徳の授業の中で、いじめに関する具体的な事例を取り上げて、児童・生徒がいじめの問題を自分のこととして考え、議論する授業を積極的に行っていただきたいという記者会見でメッセージを出されています。そういう中で神奈川県は、いのちの授業というものを推進して、これまでもやってきたと思うんですけれども、改めてメッセージを受けまして、県教育委員会としてどのように考えるか伺いたいと思います。
子ども教育支援課長
 今回の文部科学大臣の定例記者会見の中での談話そのものを受けてではございませんが、基本的には文部科学省では、今道徳のいわゆる特別の教科化に向けて、教科書の部分ですとか新たな学習指導要領を示されております。道徳の授業の一つの項目として、他人への思いやりですとか、命の大切さを学ぶ心ですとか、いじめ問題に非常に関連する徳目もあるところでございます。今回の文部科学大臣の談話を受けてというよりも、神奈川県としては、これまで同様、そういったところについて十分に充実を図っていきたいと考えております。

石川(裕)委員
 この談話は文部科学大臣として非常に重要なことだと思っています。これを受けて、改めて県として取り組んでいただきたいと思うんですけれども、そのときに年度内を目どに授業の実践事例集を提供したり、いじめの具体的な事例等を基に考え、議論できる書き込み式の教材を作成してまいりたいということも併せて言われています。今まで神奈川県にはそういう教材というのはあったのか、なかったのか伺いたいと思います。
子ども教育支援課長
 いじめ問題そのものについて、児童・生徒が直接書き込んだりする教材について、少なくともいじめ問題に特化した一つの冊子なりそういった教材はございません。教員が研修に使ったり、指導資料としては今までかなり作成してきました。
 まず、一つ近いものがあるとすれば、人権教育という広い視点の中で、神奈川県教育委員会ではワークシート集ということで、学校の教員が授業の中でいろいろ活用できる教材集を定期的に作成してきておりますが、その中に人権教育という視点からいじめ問題について取り扱った部分もあったかと存じます。
支援部長
 今の内容でございますが、実は津久井やまゆり園の件を受けまして、知事もいのちの授業ということで取り上げてございます。そういった中で今回の横浜の事案ということではないんですけれども、やはり命を大切にすること、夢や希望を持って生きることなどなどを子供たちに教えるというか、子供たちが学習する教材について、今教育委員会の中で検討をしているところでございます。といったところで、今委員御指摘の内容についても、反映をさせる形で話し合っていきたいと考えてございます。

石川(裕)委員
 今御答弁いただきましたけれども、先生が考えることも重要だと思うんですけれども、生徒・児童自身が一緒に考えることが私は重要だと思いますので、そういう書き込みシートは、児童・生徒が使える事例集を文部科学省がつくると言っていますので、是非取り入れていただきたいと思います。
 そういう中で、横浜の事案はいじめの重大事態でありましたけれども、いじめの重大事態というのは、どういうものが重大事態になるのか伺いたいと思います。
子ども教育支援課長
 いじめ防止対策推進法第28条におきまして、二つの事態を規定しているところでございます。一つは、いじめにより当該学校に在籍する児童等の生命・心身または財産に重大な被害が生じた疑いがあると認めるときでございます。これは例えばいじめにより、自殺を機としたり自殺に至った場合あるいは金品等に重大な被害を被った場合等が該当いたします。
 もう一つは、いじめにより当該学校に在籍する児童等が相当の期間、学校を欠席することを余儀なくされている疑いがあると認めるときでございます。これは年間約30日間を一つの目安として欠席した場合あるいは一定期間連続して欠席している場合が該当するとなっております。

石川(裕)委員
 御答弁いただきましたけれども、そういう中で本県における重大事故・事態の発生状況等、発生した場合、基本的に学校、そして県の教育委員会はどういう対応をとるのかお伺いいたします。
子ども教育支援課長
 1点目の発生状況でございますが、いじめの重大事態発生件数で申し上げますと、いじめ防止対策推進法が施行されました平成25年度が小学校で1件、中学校は0件でございました。平成26年度は小学校で7件、中学校で6件、平成27年度は小学校で1件、中学校で3件でございました。
 次に、重大事態が発生した場合、学校や教育委員会における対応でございますが、まず学校におきましては、いじめ問題を認知した時点で、何よりも速やかに指導・支援に当たる、対応することが重要です。この重大事態に該当すると判断した場合は、速やかに当該学校を設置する地方公共団体の教育委員会、小中学校でいえば市町村教育委員会に報告することになります。教育委員会は、自分のところの市町村長、首長に報告するといった義務がございます。県教育委員会におきましては、基本的に小中学校の場合は所管する市町村教育委員会での対応、責務が基本になりますので、基本的には県立学校の重大事態に対応するという形になります。市町村立学校におけるいじめ、重大事態に対して、県教育委員会の対応は、その次の段階になるかと思います。

石川(裕)委員
 その次の段階というのは、具体的にどういうことですか。
子ども教育支援課長
 先ほど申し上げましたように、基本的には市町村立の学校においていじめ、重大事態が発生した場合は、この法に基づき、所管する市町村教育委員会がその責務として対応することになります。同法第33条、都道府県の教育委員会は市町村に対し、必要な指導・助言・援助を行うことができると定められております。県教育委員会では、ケースの状況に応じて、市町村からの要請に基づきまして、例えば指導主事等の派遣による指導・助言あるいは臨床心理士など緊急支援チームの派遣による支援・援助、また市町村が第三者調査機関を設置する際の人選等におきまして協力を行ってまいります。

石川(裕)委員
 小中学校の場合は、県としては積極的にといっても、助言というかアドバイスというか、そういう形になってしまうということは理解をいたしました。そういう場合、また別の角度からですけれども、例えば重大事態が発生した場合、関わった教職員は懲戒処分になり得るのですか。
子ども教育支援課長
 これはケース・バイ・ケースでございまして、いじめの重大事態となったことが、そのまま人事上の処分に直結するといったことではないと認識しております。
行政課長
 先ほどお話ありましたいじめ防止対策法の中では、教員は迅速・適切に対応する責務を持っているとなっております。ですから、教員が関わった場合というお話でしたけれども、仮に隠蔽ですとか加担ですとか、あるいは放置といった場合には、当然厳正な対処をしていく形になります。本県の懲戒処分の指針の中でも、そういった事態については、指針の中では、児童・生徒間のいじめの放置または助長等、不適切な言動等があった場合には、免職、停職または減給等ということで定めているところでございます。

石川(裕)委員
 先ほど重大事件の件数が報告されましたけれども、実際に報告をされた案件について、関わった先生の懲戒処分はあるんでしょうか。
行政課長
 隠蔽、加担又は放置とか、そういった教員の場合に、適切でない対応があればということでございまして、そういった報告は上がってきておりませんので、今までお話しありました重大事案について処分等は行われておりません。

石川(裕)委員
 重大事態で学校に来れなくなった。最悪の場合、命を落としてしまった。そういうことが重大事態だということは確認いたしました。そういう中で今回、新潟市では先生自体が生徒に対して、言ってはいけない言葉を言ってしまった。そのことによって不登校になってしまったということがありました。報道だけですけれども、この先生はそういうことは言っていない、そしてまた、その後は違うキャラクターの名前で呼んでみたとようなことを言われている。例えばこういう場合は、先生は懲戒処分の対象になり得るんでしょうか。
行政課長
 実際に処分の考査の対象とする場合には、詳細調査して、当事者であるとか、あるいは被害者のお子さんであるとか、周辺の教員を調査して、事案を詳細に詰めて検討していくことになります。ただ、先ほど申しましたように、指針の中では加担したりとか、放置したりとか、そういったことで教員の場合に放置または助長等の不適切な言動等があったと認められれば、これは指針の中では程度によりますけれども、免職、停職または減給と定めておりますので、当然処分等の検討の対象になると認識しております。

石川(裕)委員
 いじめの問題については、これで終わりますけれども、学校でいえば、生徒が大人に相談できるのは先生になるわけです。その信頼している先生から裏切られたということになると、やはり生徒から見れば非常にショックだし、そして、もしそれで命を落としてしまったら、その保護者の方や周りの方もショックも非常に大きくなると思います。そういう意味では、横浜市のことだからではなくて、神奈川県で起きたことでありますから、神奈川県教育委員会の方たちは当然自分のこととして、先ほど答弁でおっしゃられていましたけれども、この件に関しては深く、そして後追いを必ずしていただきたいということを申し上げておきたいと思います。