石川(裕)委員
私からは、今回報告をされています(公財)地球環境戦略研究機関、IGESの経営状況説明書について質問をさせていただきたいと思います。まずこの報告書を受けて、この環境農政常任委員会に出てくるまでに、これは当局においてどういう経営状況をチェックしているのかお伺いいたします。
環境計画課長
 経営状況報告書につきましては、IGESから提出されたものを県として正しいものであるということで、拝見させていただいているものでございます。なお、この経営状況報告書も含めて、県としては本監査におきまして審査をいただいているところでございます。

石川(裕)委員
今御答弁いただきました。正しいものであるという基準はどういうものなのですか。
環境計画課長
 内容につきましては基本的にIGESの事業内容と合致しているかを踏まえまして、法人の内容につきましては、法人自体が監査法人の監査を受けていますので、県としては、この経営状況報告書は正しいものと見ております。

石川(裕)委員
正しいものであるという前提で、まず資料を見ているという理解でよろしいですか。
環境計画課長
そのとおりでございます。

石川(裕)委員
今の御答弁ですと、例えば、正しいもので来ているという理解で見ているということであれば、これから質問はしていきますが、こういう疑問がある、こういう不具合があるというところはチェックされないということですか。
環境計画課長
 基本的には、会計の内容につきましては、監査法人が民間を通じた事業に基づいて適切に監査を受けているということでございますので、県としては詳細な内容につきまして、そこまでは見ておりません。

石川(裕)委員
まず、内容については後ほど質問してまいります。このIGESを神奈川県はどのような目的で誘致したのか伺いたいと思います。
環境計画課長
 IGESは、当時の環境庁が主導して、平成9年の4月に設立したものでございます。設立に当たりましては、神戸市や北九州市なども誘致を表明しまして、その中から本県の提案が実現したものでございます。
本県としては、四つの狙いを掲げて誘致したものでございまして、その具体的な内容につきましては環境分野における国際貢献、研究成果のフィードバック、県内の環境人材育成の促進、県内大学や研究機関への好影響、この四つを狙いとしたものでございます。

石川(裕)委員
まず、先に平成9年から神奈川県が誘致して、今、葉山町にあるところです。先週私も見ました。実際に誘致しているわけですから、神奈川県がある程度今回の補助をしていますが、この約20年間でどれぐらいの補助を県から出されているのでしょうか。
環境計画課長
 これまでの補助金額ですが、累計で約27億円となっております。
これまでの経緯を申し上げますと、誘致した当時から事業費、それから運営費の補助を行ってまいりました。その後、県の第三セクター全体の見直し方針に基づきまして、平成15年度に、約2億円をピークにいたしまして事業費補助を徐々に削減して、事業費補助につきましては、平成26年度をもって廃止いたしました。現在は、葉山町にある本部分の光熱水費、それから清掃、メンテナンス費、そういった管理費として年額約8,600万円を補助しております。

石川(裕)委員
今も県は補助をしている。20年間で大体27億円の補助をされていたということなのです。少し踏み込んで伺ってまいります。今回この報告書の会計年度が、普通ですと1年、平成28年の4月から平成29年の3月ということですが、今回3箇月会計年度が延びています。資料を見れば、3箇月期間が延びているわけですから、当然数字的にいい数字が出てくる報告書になると思うのです。何で今までずっと3月でやってきたのが急に6月の会計年度に変わったのか伺いたいと思います。
環境計画課長
 IGESは研究資金の確保のために、国や海外の国際機関などから外部資金の獲得に力を入れております。外部資金の約7割を占める国の競争的資金について4月に精算額が確定される、それから新年度に新規で獲得する外部資金について4月以降に公募するものが多い、こうしたことから、従来の予算編成の時期ですと不確定要素が多いという状況でございました。そこで、会計年度の開始を7月にすることで、確度の高い予算や事業計画を試算することが可能となりますので、会計年度の変更したものでございます。

石川(裕)委員
今の御答弁の内容は財団にも伺っております。分からなければ結構ですが、財団はほかにもいろいろあると思います。ほかのところは今までと会計年度を変えていないのです。ここだけ3箇月、会計年度を変えてきているのです。今御答弁ありましたが、当然ほかの財団も国からの補助などの事情があると思うのです。冒頭に伺いましたが、会計年度が変わることは、神奈川県としてその報告があれば、そういうものだと理解しているということなのでしょうか。
環境計画課長
 IGESから会計年度の変更の申し出がございました。その後、県でも行政改革推進会議の調整部会でも検討をさせていただきました。また、昨年度、当該常任委員会におきましても報告をさせていただき、これを御了承いただいたところでございます。

石川(裕)委員
ほかの財団は会計年度は変えずにやっている財団もあるということは御指摘しておきたいと思います。
その中で、神奈川県がどういうチェックしているのか伺いますが、今回貸借対照表を見させてもらうと、細かいことで大変恐縮なのですが、神奈川県住宅供給公社債を今回2億円で買われている。今までは、神奈川県住宅供給公社債は全く出てこない。今回2億円が使われている。この神奈川県住宅供給公社債を買われた理由は何か伺っていますか。
環境計画課長
 この神奈川県住宅供給公社の公社債を選定した理由は、安全性が高いと見込まれる公共的債権であること、それから購入当時の利率が国債より0.08%上回りまして、0.32%ということで、運用状況も安定している。こういったことも含めて購入する判断をしたものと聞いております。

石川(裕)委員
なぜ、この話をするかというと、神奈川県住宅供給公社が民営化されるかという議論があって、結局民営化という話があって、公社にするという結果になったわけです。神奈川県住宅供給公社の報告書には、低利で資金を調達できたと報告書に記載されているのです。国債もありますし地方債もあります。当然タイミングがありますから、10年債とか5年債があって、買うときにいろいろタイミングがあると思うのですが、神奈川県住宅供給公社債を買うということについて、地方債でももっと利率の良いものが多分あったと思うのですがその辺はどうですか。
環境計画課長
 神奈川県住宅供給公社債につきましては、公募された債権を市場から購入したというものでございますので、県としては問題ないと考えております。 例えば、神奈川県債なのですが、参考までにその利率を申し上げると0.215%で、こういった利率と比較しても神奈川県住宅供給公社債の方が利率が良くて安定しているということでございますので、判断は適切だったと考えております。

 石川(裕)委員
それともう一点、この役員の中に、みずほ銀行の方がいらっしゃるのです。その中で、平成28年度、平成27年度、平成26年度の貸借対照表を見せてもらうと、いいか悪いかは別ですが、みずほ証券から買われている債権が急に増えているのです。平成28年度についてはどう御理解されておりますか。
環境計画課長
 みずほ証券につきましては、当時のほかの金融機関も同じ商品を売り出しているということで、複数の証券会社等と利率の違いや運用状況について情報を集めまして、条件の良かったみずほ証券に決めたと聞いております。
委員御指摘のみずほ関係の役員でございますが、監事ということでございまして、監事はIGESの経営を決定に関与する立場にはございませんので、みずほ銀行の働き掛けはなかったものと考えています。

石川(裕)委員
監事は、経営には直接関わっていないということは理解するのですが、外部から見て、みずほ銀行の人が入っていて、みずほ証券の債権が増えている、今の流行の言葉ではないですが、忖度があったのではないかという視点で見ている方も出てくる可能性もあるのです。その点は慎重になっていただかないといけないと思っています。その点は指摘しておきたいと思います。
あと当然、県として数字の話はチェックしていただきたいのです。そういう中で、県に対する還元が重要だと思っています。
20年間で約27億円の県の税金を使って、IGESに補助金を出しているわけです。では、神奈川県に対してどういう還元があったのかという話を伺ってまいりたいと思うのです。私も実際お邪魔をさせていただいて様々なことをやられている、SDGsのことも伺いました。そして、世界ですごく評価されているというお話も聞きました。それだったら別に神奈川県がお金を出してやるものではなくて、国の補助金でやってくださいという部分は多々あったのです。補助金が神奈川県と北九州市、兵庫県で出ている。それぞれ事務所があるということで伺いました。まず、県に対する還元というところで、どんな連携がとられているのか伺いたいと思います。
環境計画課長
 経営状況説明書に記載しているIGESにつきましては、例えばCOP22を受けましてCOPセミナーを県民に向けて開催いたしました。これに関して100名を超える応募がございまして、県民に対して非常に還元ができたと考えております。
また、具体的に地域への還元ということで申し上げますと、例えば今年度ですが、県の生命の星・地球博物館において子供向けの自然観察会を共催で4回開催しまして、約120名の小学生と保護者の参加がございました。また、IGES国際生態学センターがございますので、自然環境保全センターと連携しまして、森林再生の取組について展示を行ったり、自然環境保全センターの主催する自然観察指導技術研修会に講師を派遣したり、そういった形で研究成果の還元に努めているところでございます。

石川(裕)委員
県は27億円を払ったということですが、その内容で県民の人が理解をするかというと、難しい部分があると思うのです。地元の葉山町とか、そして中学校とも連携をとって職場体験の受け入れとか、いろいろ報告ありますが、本当に一部であります。神奈川県でセミナーをやっているお話も聞きましたが、神奈川県とどう連携をとっているのでしょうか。神奈川県も環境についていろいろ取り組んでいる部分があると思いますが、財団に聞いたら、神奈川県からのアプローチはゼロとは言いませんが、そういうアプローチがあればもっと積極的にお手伝いできるというお話がありました。この財団に補助金をこれからも出していくのであれば、積極的にもっと活用すべきだと思うのですが、その点についてはいかがでしょうか。
環境計画課長
 今、環境に関する還元ということで、過去には地球温暖化対策計画を改定する際に、有識者会議で構成する会議においてIGESの理事長に就任いただきまして、様々な知見を本県に還元していただいていることがございます。
今後こういった具体的な取組は、まだ実は始まったばかりというか日が浅い状況でございます。そういった中で、県としても例えば県内の大学との連携をやっております。今実際に、慶応大学の湘南藤沢キャンパスでやっておりますが、そういったものを拡大ができないか、そんな形で検討して、連携の拡大を働き掛けてまいりたいと考えております。

石川(裕)委員
最後に要望になりますが、マッチングみたいなことも大事ですが、県が直接お金を出しているわけですから、もっと積極的に活用して、県の環境部門のところでも相互理解といいますか相互関係をもっと深めていただきたい。そして県民にそれが分かるように示していただきたいと要望しまして、私の質問を終わります。