石川(裕)委員 まず、我が会派の本会議の一般質問で地域包括ケアシステムの推進に向けた医療連携について質問をさせていただきました。知事の答弁の中で、県で転院や在宅医療への移行の際にポイントとなる退院調整について、退院先とスムーズに調整できる看護師などの人材育成に取り組むとともに、地域共通のルールづくりを市町村や医療関係者と連携して進めるという御答弁がありました。退院調整を行う看護師というと、大きな病院では退院調整看護師がいますが、人材育成とは、具体的にどういう人材育成を目的としているのか伺います。
医療課長 御質問のありました退院調整あるいは入退院調整を行う、退院調整ナースと言われる職の看護師が確かにいます。また、メディカルソーシャルワーカーという方が退院調整を担うことが多いです。 具体的に育成しようとしている人材は、退院調整のときにカンファレンスを行い、在宅に移行する場合、ケアマネージャー、地域の方、市町村を呼んだり、患者の方をどのように扱うかを話し合いますが、その前に、患者本人、あるいは御家族から意向を聞きます。ご意見を調整して、在宅の場合には在宅へスムーズに移行し、医療が受けられるようなチームを構築する、転院の場合には、次の転院先を探して、適切なところに導くことができる人材の育成というイメージを持った研修を実施しています。
石川(裕)委員 研修は、看護師の所属する病院から推薦されるのか、どういう方を対象に実施しているのでしょうか。 医療課長 研修の参加者を見ていると、20人、30人の実務的な研修、あるいは100人、150人でグループをつくり、グループワークを行う研修を実施しています。つまり、病院が推薦する看護師、御自分で手を挙げてくださる看護師、それから看護職ですが、地域のリーダーのような役の方が参加されている状況です。 石川(裕)委員 調整の看護師には、資格が必要なのでしょうか。
医療課長 退院調整の看護師は、具体的な国家的な資格はありません。
石川(裕)委員 ソーシャルワーカーと調整看護師の話がありましたが、この違いについて伺います。
医療課長 医療ソーシャルワーカーは、看護師資格を持っていなくてもソーシャルワーカーとしての資格があれば従事できます。ただ、現状は看護師であるけれども、医療ソーシャルワーカーの資格も取っている方が多く、医療的知識のベースはほぼ一緒です。
石川(裕)委員 そのような方を具体的にどのように育成して、地域に貢献をしてもらうために、どういったプログラムを組まれているのか伺います。
医療課長 具体的に、退院調整人材がどこにいるかということが重要です。地域の病院、市役所施設にいるのかということがあります。まず病院にいる方に、退院調整を行う機能をしっかりつけていただくために、病院に働きかけていることがメインです。今は、病院の看護師で募って参加していただいて、大抵は退院調整を行う地域連携室のような部署があるので、その機能を強化していただき、先ほど申しましたカンファレンスを行い、相手先を探してつなげられる実務を身につける研修を実施しています。
石川(裕)委員 市町村によって、様々な温度差があると思います。今年4月から藤沢市民病院で患者総合支援センターを開設するという報道がありました。これは藤沢市ですが、市町村によって連携バランスに温度差があってはいけないと思います。その点について、県はどのように地域差を平坦にしていこうと思われているのか伺います。
医療課長 質問のありました市町村ごとの温度差は、多少あると感じています。積極的に進めているところもありますが、人材がいない、あるいは小さい町村では、自分の町村の中だけではおさまらないので、隣の町と併せて考えなければいけないという問題もあります。県や保健福祉事務所がコーディネートし、広域で退院調整をする仕組みをつくることが重要です。また、市町村では、先ほど先行会派の質問で横須賀市の例がありましたが、横須賀市は積極的に進めていて、人材の質も高く、連携もできています。こういった先例を、進め方が分からず、人材もいない市町村に見せながら、地域にどのような医療資源があり、退院調整の窓口は誰なのかなど、地道に進める取組をしております。
石川(裕)委員 御答弁があったとおり、私がお伝えしたかったのは、市町村を超える場合は、県の出番であるということです。藤沢市、横須賀市の例も挙げさせていただきましたが、例えば、横須賀市はうまくできているが、隣の三浦市はどうかという、市をまたぐ連携を神奈川県が先導することはできますか。
医療課長 これは県の役目だと思っており、横須賀市と三浦市の例が出ましたが、こちらは連携が進んでいる地域で、横須賀市も三浦市も、自分の市のように考えながら、三浦半島全体で連携していこうという機運が高まっている地域です。 県内全部で、連携ができていればいいのですが、まだこれからという地域もあるので、県が、情報とデータを出し、つなぎ役になり、顔の見える関係を構築し、医療機関の情報をしっかり整備して、仕組みを整えていきたい考えています。
石川(裕)委員 整備を進めるに当たり、具体的なタイムスケジュールを伺います。
医療課長 これはもちろん市町村との状況次第ですが、一例を申し上げると、二次医療圏、例えば、地域の高齢者介護施設があります。その施設の特色、例えば、みとりを行っているか、患者、入所者の受入れ情報の整理などを、各保健所が進めています。新型コロナウィルス感染症の関係で若干遅れるかもしれませんが、当初は今年3月末を目指して情報整備を進めてきました。 また、湘南西部地域では、湘南西部の病院協会が中心となり、情報を共有する取組が進んでいるところで、順調であれば今年3月末に立ち上がる予定です。
石川(裕)委員 諸事情もあると思いますが、一日も早く進めていただければと思います。在宅医療を進める上で、地域の医療関係者で構成する調整会議を活用して、必要な分析データを提供しながら、各病院が十分に話し合い、役割分担を進めるようにコーディネートしていくという御答弁もありました。地域医療構想調整会議は、年間どれくらいのペースで開催しているのでしょうか。
医療課長 地域医療構想調整会議は、県内に医療圏が九つありますが、川崎市は二つの医療圏が一つで行っているので、八つの地域で調整会議をつくり、大きな会議は、年間3回行っています。それ以外に、各地域でワーキンググループのようなものをつくっています。例えば、地域医療構想調整会議は医療関係者だけではなく、介護関係者や薬局も入っているので、病院だけが参加し、連携するワーキンググループもつくっています。大体各地域に3プラス3、6回や7回という形で会議を開催しています。
石川(裕)委員 その会議を活用して、必要な分析データを提供するのは神奈川県だと思いますが、会議の中で、実際に神奈川県がプレゼンテーションをする時間はあるのでしょうか。
医療課長 会議は約2時間ですが、年間の最初のほうの時間帯で、県として、診療動向のデータを簡単にまとめた指標を用いて、地域の診療動向をプレゼンテーションしながら、御説明する時間を設けています。
石川(裕)委員 その上で、今回、コーディネートをしていくということですが、今後もさらに進めるということでよいでしょうか。 医療課長 そのように御理解いただければと思います。
石川(裕)委員 市町村を超える形で進めていると思いますが、ぜひ進めていただきたいと思います。