適切な残土処分施策について
石川】令和3年7月に発生した熱海市伊豆山での土石流災害を受けて、国は、盛り土総点検の結果、11月末時点で、657箇所で必要な災害防止措置が確認できなかったと発表した。県では、不法投棄の防止のために、適正に管理された受入地への搬出の指定や、受入地を指定しない場合には搬出先を「確認届」により確認をしているが、あくまでも公共工事の場合であり、民間同士の工事の際はこの限りではない。県として、適切に残土を処分する方法を用意することにより、不法投棄などを防ぎ、一層の安全が図られると考える。
そこで、盛り土総点検を踏まえた国の法改正の検討などが進む中で、民間事業の残土の適正な処分を図るため、県としても、残土処分先の情報を民間事業者へ積極的に提供していくべきと考えるが、所見を伺いたい。
知事】建設工事から発生する残土の適正な処理を進めるためには、土砂の埋立てに対する規制だけではなく、工事間で再利用することも含め、残土処分先を確保することも重要です。県等の公共工事では、まず、工事間での再利用を検討し、再利用が難しい場合には、工事前にあらかじめ残土処分地を指定し、そこへ搬出しています。しかしながら、民間工事では、残土の処分先を決めずに契約する場合が多いとされていることから、工事完成までに処分先を見つけることができず、場合によっては不法投棄に繋がることが懸念されます。
そのため、民間事業者へ残土の処分先の情報を提供することは、残土の適正な処理を進めるため、有効な取組です。処分先の情報提供については、国土交通省等が、工事間で残土を融通させるために、「官民有効利用マッチングシステム」を運用していますが、民間事業者の利用がまだ少ないことから、今後、県として民間事業者に対し、積極的な活用を働きかけていきます。具体的には、県のホームページで直ちに周知するとともに、建設業協会などの関係団体を今年度内に個別に訪問し、このマッチングシステムの有効性を説明して、会員への周知を依頼します。また、盛土の法規制の在り方を検討した、内閣府の有識者検討会から、盛土の許可地の一覧を都道府県等が公表すべき、との提言がなされました。
盛土の許可地を公表することは、民間事業者の処分先の検討に資することから、県としては、法制化の動きを注視しながら、処分先の情報提供を進めてまいります。こうした取組により、建設残土の適正な処理を促進し、県民の安全・安心を確保してまいります。
石川】「官民有効利用マッチングシステム」の活用などについて、ホームページ等での対応を早急に検討していただくとのことでした。周知は大切ですけれども、是非皆さんに活用していただくよう要望いたします。