石川(裕)委員 早速質問に入らせていただきます。新型コロナ対応の長期化や生活様式の変化で、近距離移住の候補地として神奈川県への注目が集まっており、昨年、実際に転入超過となっている市町があるという中で、本日は、県西地域活性化プロジェクトについて、伺ってまいります。初めに、県西地域活性化プロジェクトは、昨年3月に改定をされています。この改定で、どのような点が変わったのか伺います。
塚本地域活性化担当課長 平成26年3月に策定いたしました県西地域活性化プロジェクトは、未病の改善をキーワードに、地域の新たな魅力を引き出し、観光客を呼び込むことに力を入れて取り組んだ結果、未病バレー「ビオトピア」等の施設整備が進み、にぎわいが創出されるなど、一定の成果が上がったところです。これまでの取組を通じ、県西地域では、未病コンセプトが定着していることから、昨年3月のプロジェクト改定では、未病改善の普及啓発から実践に進める段階にステージを上げ、取組を行うことといたしました。また、コロナ禍をきっかけにした社会環境の変化を踏まえ、自然豊かで密にならない環境と交通の利便性を併せ持つウィズコロナ時代の生活スタイルに適した地域という強みを生かし、関係人口の創出や移住・定住の促進に積極的に取り組むことといたしたものでございます。
石川(裕)委員 新たな日常に適した地域だということだと思いますけれども、まず、その次に令和3年の予算計上に当たっては、県西地域における広域ワーケーションモデル事業として、約800万円が計上されています。具体的にどのような事業を行ったのか伺いたいと思います。
塚本地域活性化担当課長 自然豊かな場所で余暇を楽しみながら働くワーケーションは、自然と余暇を通じ、地元との交流を深め、関係人口の創出も期待できるものです。そこで、県では、例えば仕事は森林の中のシェアオフィス、余暇はビーチクリーン活動など、市町の特徴や得意分野を組み合わせ、地域全体で利用者を受け入れる広域ワーケーションを県西地域で推進することとしております。令和3年度予算に計上したモデル事業では、都心で働く世代を対象に、地域の暮らしや文化に根差した体験コンテンツを組み込んだモデルツアーの実施を予定しておりました。今年度は、コロナの感染状況等を踏まえ、モデル事業そのものの実施は見送ることといたしましたが、今後、モデル事業を実施できるようになった際に活用できるコンテンツ等を事業費をかけずに掘り起こし、まずは、県西地域の個性豊かなワークスペースについて、県のホームページでの情報発信を始めたところです。
石川(裕)委員 いろいろ御答弁いただきましたけれども、残念ながら、新型コロナの影響で、この事業、ホームページで掲載をしたという事業以外は行われなかったというふうに理解をいたしました。一方で、来年度予算には、またこの予算が計上されています。今年度、そういう中で事業がコロナの影響で行われなかった。そういう中で、目的も、そしてその効果も分からない中で、また実施を見送ったモデル事業について、来年度、どのような考え方で予算計上されたのか伺いたいと思います。
塚本地域活性化担当課長 今年度のモデル事業の実施は見送ったところですが、ワーケーションはテレワークの定着など、新しい働き方の時流に沿った取組でございまして、この機会を捉えて実施することが効果的であると考えております。令和4年度においては、ぜひともコロナの状況を踏まえつつも、感染防止対策との両立を図りながら事業を実施したいと考えております。
石川(裕)委員 ぜひ来年度、同じまたコロナの影響でできなかったというようなことがないように、できる工夫をぜひ要望しておきたいと思います。その中で転出の抑制、定住に関して、新型コロナの感染拡大に伴い企業のテレワーク導入や通勤削減などが広がる中で、その住環境がとても重要と考えます。その一つである出産、子育て施策について伺ってまいります。令和3年3月、県と小田原市、神奈川県立病院機構の3者で基本協定に基づき、小田原市立病院と県立足柄上病院の連携・協力の方向性が示されました。その中で、足柄上病院の産科は廃止の予定となっていますが、その理由について伺います。
鈴木県立病院課長 足柄上病院では、平成18年に産科医が引き揚げられ、一時分娩を休止しましたが、その後、何とか医師を確保し分娩を再開しました。しかし、平成28年には、常勤の産科医が退職したことから、翌年度から、ローリスク分娩に限って、助産師のみによる分娩を実施してきました。しかし、ローリスクといえども、妊婦さんや胎児の状態が急変した場合には、他の病院に緊急搬送する場合もございました。分娩において最も重要なことは、母子共に安全な状況で出産できる環境を整えることでございますので、安全・安心な分娩を確保するため、産科医等が十分に確保されている小田原市立病院への集約化が必要と考えたところでございます。
石川(裕)委員 今、産科の廃止の方向性について伺いましたけれども、地域の方からは存続の声があるというふうに聞いています。この点について、どのような認識を持たれているのか伺います。
鈴木県立病院課長 小田原市立病院と県立足柄上病院との連携・協力の方向性につきましては、県西地区保健医療福祉推進会議や足柄地域医療懇話会などを通じまして、自治体や医療関係者の皆様の御意見を伺ってきました。特に足柄上地域の1市5町の首長さんから、一昨年の11月、12月、また昨年の2月に意見交換会を開催し、御意見を伺ったところです。 こうした機会を通じまして、足柄上地域の実情を踏まえた分娩の集約の方向性については、十分に御説明を行いまして、御理解いただいたというふうに考えております。
石川(裕)委員 県としては、理解をいただいたと、地域の市町の首長さんとも話をさせていただいて、御理解いただいたという認識だということは理解をいたします。 そういう中で、少し調べさせてもらうと、足柄上病院、これは独立行政法人であります神奈川県立病院機構が運営されています。その神奈川県立病院機構の令和2年度の業務実績報告を見させてもらうと、足柄上病院の決算は、様々いろんな理由はありますけれども、結果、総利益は9億5,600万円というふうになっています。独立法人ではありますけれども、この9億5,600万、総利益となった中で、休診となっている産科の医師確保に活用するなど、県民、そして地域の方から要望があるということであれば、地域の方への還元ということも考えると思いますけれども、その状況について伺います。
鈴木県立病院課長 足柄上病院は、新型コロナウイルス関連の補助金収益の影響によりまして黒字となりましたけれども、医業損益で比べますと、前年比13億7,800万円の赤字と、悪化しております。病院機構全体で見ましても、これまで20億を超える大幅な赤字決算が3年連続するなど、現在累積63億円もの欠損がある状態でございます。こういったことから経営改善を進めて、引き続きその解消に努めていくことが必要だというふうに考えております。 これまで厳しい経営環境のため、施設の改修や修繕が十分にできていませんでしたけれども、今後、患者さんが利用するトイレをはじめ、老朽化した施設の改修や再整備を計画的に進めていくことで、県民の皆様に還元していきたいというふうに聞いております。
石川(裕)委員 そういう施設の改修ということも分かりますけれども、もともとそれだけの赤字があったということも、また問題だと思いますけれども、それはまた別の機会で質問させてもらいますけれども、そういう中で、先ほど御答弁もありましたけれども、足柄上病院は産科医ではなくて、院内助産システムを立ち上げて、助産師が出産に立ち会って、そして助産師が産前産後の妊娠、出産、育児のサポートをするという取組が行われてきたと承知しています。このシステムに関して、どのように評価しているのか伺いたいと思います。
鈴木県立病院課長 院内助産に関しましては、本当に助産師が誇りと自覚を持って一生懸命対応していたことから、利用者の評判もよかったというふうに聞いております。その一方で、ローリスクではあっても、医師不在の分娩に不安のある助産師も多く、一部のベテラン助産師に負担が重くのしかかるということもございました。妊婦の急変時には、他の病院に搬送することもございまして、より安全・安心な分娩のためには、こういった環境の整備が課題となっておりまして、外部の専門家からも、その旨、指摘をされたところでございます。 そこで、安全・安心な分娩を確保するため、産科医等が十分に確保されている小田原市立病院の集約化が必要というふうに考えたところでございます。
石川(裕)委員 安心・安全の分娩に向けて集約が必要だということで、今、県は進めようということは理解をいたしましたけれども、そういう中で、足柄上病院の産科の休診等について伺ってきましたけれども、その一方で、地域活性化プロジェクトには「地域の活力を維持していくためには、地域を担っていく次の世代が活躍していくことが必要」だというふうに記載されています。特に、20歳代を中心とする転出超過を課題として掲げているようですけれども、この課題に対して、ではどのように取り組まれているのか伺いたいと思います。
塚本地域活性化担当課長 転出超過を解消するためには、転入者を増やす移住促進と、転出者を減らす定住促進の両面からの取組が必要となります。委員御指摘のとおり、今般、コロナ禍をきっかけに暮らし方や働き方が変化し、都心から近距離の地方へ移住する動きが広がっており、県西地域にとっては追い風と捉えております。 そこで、移住促進の観点から、海、山、温泉などの資源に恵まれた県西地域での暮らしの発信やPR、広域ワーケーション等を通じた関係人口の創出・拡大、企業誘致やサテライトオフィスの充実等による働く場所の創出などに、また、定住促進の観点からは、温泉や海をはじめとする県西地域の多彩な魅力を活用した日常的な未病改善の実践の促進、若者目線でまちづくりを議論したり交流する場の設置による若者の地域への愛着の醸成などに、関連部局や市町等と連携して取り組んでまいりたいと考えております。
石川(裕)委員 今、いろいろ事業を言っていただきましたけれども、もともと先ほど足柄上病院のお話をさせていただきました。若い世代の方がその地域に住んでいただく、そして定住していただく。そういうところで、このプロジェクトでは、県西地域2市8町の社会増減数がプラス500人、KPIとして、県及び市町への移住相談件数が1,100件などと指標が示されています。なぜ移住数ではなくて、相談数が目標数値なのか伺いたいと思います。
塚本地域活性化担当課長 県西地域活性化プロジェクトは、計画期間が終了する令和5年時点で転入者数から転出者数を引いた、いわゆる社会増減数を、令和元年より500人増やすことを数値目標としております。委員御指摘の移住数は、数値目標である社会増減数に含まれており、仮に移住数をKPIとすれば、社会増減数の内容と重複してしまいます。そこで、移住数を増やすためには、移住を検討する人々のニーズに沿った情報提供や、疑問や不安を解消する取組が大変重要と考え、移住相談の件数をKPIとしたところです。
石川(裕)委員 いろいろ考え方、あると思いますけれども、そういう中で、先日、南足柄市にあるアサヒビール神奈川工場が、2023年1月に操業を終了するという発表がありました。南足柄市においては、多大な貢献のあった企業が操業終了となりますけれども、この県西地域の活性化、このプロジェクトも含めて、影響はどのようにあるのでしょうか。
塚本地域活性化担当課長 委員御指摘のとおり、アサヒビール神奈川工場は、県西地域において、長らく経済の活性化に貢献いただいた工場でございまして、操業終了による影響は多方面にわたると考えられます。先月発表のあったところによりますと、工場跡地の活用については検討中とのことでございますが、県としては、地域活性化につながる利活用となるよう期待しており、今後の動向を注視してまいりたいと考えております。
石川(裕)委員 動向を注視するということじゃなくて、ぜひ県として積極的に、ここは地域の南足柄市、市町と一緒に連携して、様々な提案等もしていただきたいと思いますけれども、そういう中で、これまで質疑でも触れましたけれども、出産を支える環境の変化、今のアサヒビール工場の件もありますけれども、環境の変化など、活性化に向けた課題へのアプローチには様々な視点が必要であると考えます。今後、プロジェクトの改定に当たっては、地域の課題を一番把握している市町と密に連携を取って検討を進めるべきと考えますが、いかがでしょうか。
塚本地域活性化担当課長 県西地域活性化プロジェクトは、市町をはじめ、商工・農林・水産・観光関係の団体や金融機関等で構成する県西地域活性化推進協議会を推進組織として取組を進めております。協議会には、県西地域2市8町の企画部門を構成員とした部会も設けております。現行プロジェクトの計画期間は令和5年度まででございますので、今後のプロジェクト改定などに当たっては、県西地域活性化推進協議会や、その部会の場などを活用し、市町等としっかり連携を取りながら、様々な視点から検討を進めてまいります。
石川(裕)委員 最後、政策局長に伺います。新型コロナの対応の長期化や生活様式の変化で、冒頭にも申し上げましたけれども、近距離移住の候補地として神奈川県の注目が集まっています。このタイミングを捉えて、今まさに絶好のタイミングだと思いますけれども、このタイミングを捉えて、市町の取組と連携したタイムリーな事業の実施が求められていると考えます。改定された県西地域活性化プロジェクトを令和4年度、どのように進め、そして目標とする2市8町の転入者数増に結びつける一年とするのか伺いたいと思います。
髙澤政策局長 先般の総務省の発表によりますと、県西地域は11年ぶりに転入超過となりまして、特に、これまで大きく転出超過だった30代についても、177人の転入超過となるなど、現在の生活スタイルに適した地域として、現在注目されています。委員の御指摘のように、このタイミングを捉えて、この流れを生かしていけるように令和4年度、まずは広域ワーケーション事業、こちらのほうを通じまして、都心の働く世代の方々に県西地域の魅力に触れていただいて、そして、この地域のファンを増やしていきたいというふうに考えております。この広域ワーケーションですけれども、例えば、里山保全活動など、楽しみながら地域貢献にもつながるコンテンツ等も想定しております。こういったコンテンツについては、フリーランスの方、あるいは個人の方、それだけでなく、CSRの活動の場、あるいはビジネスチャンスを考えている、そういった企業にも魅力的に映るものだというふうに考えておりますので、積極的にアプローチするなど戦略的に取り組んでまいりたいというふうに考えております。 また、コロナ禍で、その重要性が改めて認識されました未病改善の取組について、森林や豊富な食材等の地域資源、それを活用した実践プログラムを開発し、未病バレー「ビオトピア」をはじめ、様々な施設で実施するなど、未病改善を実践する場として、取組を積極的に進めてまいりたいというふうに考えております。 このような取組を市町等と連携して実施することにより、都心に近く、地域の多彩な恵みを享受しながら生活することができるという、この県西地域の魅力を磨き、転入者増、これを確かなものにしてまいりたいというふうに考えております。
石川(裕)委員 今、政策局長から御答弁いただきましたけれども、確かに、このプロジェクトを当初つくったときには、20代、30代の転出が超過しているというプロジェクトのつくりのときには、そういう状況でした。今、御答弁いただいたとおり、30歳代が、2021年の資料を見させていただくと転入超過になっていますね。少しずつそういう意味では改善されてきているというふうに考えています。そういう中で、新型コロナの影響で、神奈川県内の自治体が近距離移住やワーケーションの受入れに力を市町が入れています。そういうときだからこそ、広域行政である神奈川県が、積極的に、そしてかつタイムリーな支援が必要だというふうに考えます。 特に各自治体は、若年層の流入に期待し、相談や支援の体制を相次ぎ拡充しています。そのためには、子供を産み育てられる環境づくりが重要であると考えますけれども、今日、質疑させていただきましたけれども、足柄上病院の産科の廃止は、県西地域の今後の活性化に大きな影響を与えることが予想されます。 ぜひ地元からの存続の要望が出ていることも真摯に受け止めていただいて、プロジェクトとして、子育て世代の産前産後支援について、市町と連携して取り組むことを強く要望して、私の質問を終わります。