石川(裕)委員 早速、質問に入ってまいりますけれども、初めに県立学校施設再整備計画の現状について伺ってまいります。県教育委員会は、平成28年度から令和9年度の12か年をかけ、計画全体の整備事業費をおおむね1,500億円とした県立学校施設再整備計画、いわゆる新まなびや計画を策定しており、この計画の折り返しの時期を迎えています。 初めに、神奈川県公共施設等総合管理計画における基本理念、それと目標、そして新まなびや計画の関連性は、どのようになっているのか、併せて伺いたいと思います。
大河原施設整備課長 公共施設等総合管理計画の基本理念でございますが、県民が安心して安全かつ快適に利用できる公共施設等を、経済的なコストで適切に提供することでございます。 目標は、財政負担の軽減・平準化と、公共施設等の最適な配置の実現となります。また、公共施設等総合管理計画では、県の全ての公共施設に共通する維持更新の基本的な考え方を定めており、新まなびや計画は、その考え方と整合性を取って学校施設の特性に応じた維持更新の取組を定めているものでございます。
石川(裕)委員 具体的に新まなびや計画について伺っていきますけれども、この新まなびや計画は「新」とついていますから、以前にはまなびや計画というのがありました。このまずまなびや計画については、いつ計画され、どのような事業を何年間で進めてきたのか伺いたいと思います。
中島教育施設課長 県立教育施設再整備計画、通称まなびや計画は、県立教育施設を対象として早急な対応が求められている耐震化対策や老朽化対策などに計画的に取り組むもので、計画期間を平成19年度から平成28年度の10年間とし、平成18年度に策定しました。具体的には、大規模補強が必要な建物の耐震対策を最優先に進めつつ、市や町から避難所に指定された県立学校の体育館の耐震化、特別支援学校の整備などを平成19年度から平成27年度までの9年間で進めてきました。
石川(裕)委員 このまなびや計画は、おおむね1,000億円程度と言われた整備事業であります。今9年間でということでおっしゃられましたけれども、まなびや計画は最初、10年で計画をされて、その最後の1年を残して終了しています。このまなびや計画が終了したときの最終費用は幾らだったのか。その上で、まなびや計画の目標の達成の整理や検証は、どのように行われ総括されたのか伺いたいと思います。
中島教育施設課長 まなびや計画は、10年間の計画期間でおおむね1,000億円程度の整備事業費としておりまして、平成19年度から27年度までの9年間の決算額の累計は719億余万円です。 それで、総括につきましては、まなびや計画については、事業の進捗状況などを把握した上で、毎年度の予算審議等で目標等の整理、検証を行い、具体的な整備箇所等を決定してまいりました。平成19年度から平成27年度までの9年間の取組で、最優先課題であった大規模補強が必要な校舎の耐震化等について事業完了の見通しが立ったことから、目標はおおむね達成できたと考えています。その一方で、県立学校の施設整備の課題として、小規模補強が必要な校舎等の耐震化や総合的な老朽化対策、トイレ環境の改善、特別支援学校の施設整備、県立高校の再編統合等へ対応していく必要があると総括しております。
石川(裕)委員 今、おおむね順調に進んだということで御答弁ありましたけれども、まなびや計画では、計画が10年の計画でありますけれども、19棟が計画終了までに終了されなかったというふうに伺っています。 新まなびや計画では、これから聞きますけれども、その19棟が終了していなかった中で順調に進んでいるということですけれども、そうしたら10年目で全て計画が終了したんですか。
中島教育施設課長 新まなびや計画に引き継いだ19棟のうち、平成28年度に完了したのは8棟になります。残りについては、建て替え、改修、移転、新築などにより平成30年度までに完了しています。
石川(裕)委員 ということは、当初のまなびや計画の計画の間では終わらなかったわけです。終わらなかったんですね。それは10年ということで最初の計画です。それは9年目で終わって、新まなびや計画に継続をしたということは理解をしています。そういうことがある中で、今回、新まなびや計画で耐震補強が必要な県立学校の校舎、そして及び体育館の耐震化は、令和5年度に終了する計画となっています。これは計画どおりに終了するんですか。
中島教育施設課長 耐震対策については、令和5年度までにおおむね完了する予定です。しかし、耐震補強工事が必要な校舎が複数あるため、教育活動に係る影響が最小となるスケジュールを設定し、1棟ずつ整備することとしたことから、令和6年以降の工事を見込んでいる学校などがあります。こうした個別事情が生じた学校以外は、令和5年度の完了を目指して取り組んでいきます。
石川(裕)委員 完了を見込んでということですので、終わるかどうかまだ分からないというふうに理解をしましたけれども、次にトイレの改修について伺います。新まなびや計画の策定時点では、令和5年までに、やはりこれもトイレ環境の改善を終えるとしています。私も幾つかの高校を確認させてもらいましたけれども、各フロアの一部の部分のトイレは、きれいに改修されていましたけれども、もう一部の部分は、同じフロアでも違うトイレのところは改修されていない、古いままのトイレというところもありました。この改修状況は今どうなっているのか、そしてこれは、今後いつまでに改修されるのか伺いたいと思います。
中島教育施設課長 トイレ環境改善の対象件数については、校舎の1階からトイレの最上階のトイレまで、給排水管で縦につながっている範囲ごとに1棟とカウントしており、高校と特別支援学校を合わせて全部で380棟を対象としております。このうち令和3年度末までに277棟が完了する予定です。また、トイレ改修につきましては、校舎棟の各フロア全てのトイレについて行う予定となっており、現在改修されていないトイレにつきましても今後、令和5年度までに改修を行う予定です。
石川(裕)委員 整備事業費、おおむね1,500億円とした新まなびや計画ですけれども、トイレの改修も令和5年度までにぜひ終えていただきたいと思いますけれども、まず昨年度までの執行額は幾らなのか。その執行額に、今年度、そして及び来年度の予定している予算を合算すると、どのぐらいの金額となっているのか伺います。そしてあわせて、現段階で今後の改修計画を含め、総額どのぐらいの金額がかかると想定しているのか併せて伺います。
中島教育施設課長 新まなびや計画の執行額についてですが、平成28年度から令和2年度までの決算額の累計は583億余万円です。また、これに令和3年度予算及び令和4年度当初予算案を合算した金額は1,174億余万円となります。今後、令和6年度からの新まなびや計画第3期では、耐震対策の対象とならなかった校舎の総合的な老朽化対策を進めていく予定ですが、新まなびや計画全体では計画どおり、おおむね1,500億円の整備事業費を見込んでいます。
石川(裕)委員 この新まなびや計画は、長期にわたる計画であるにもかかわらず、私も見させてもらいましたけれども、期間途中の見直しを検討する旨の記載がこの計画にはないんですね。今、御答弁いただきましたけれども、7年目となる時点で1,170億円ということでしたけれども、そうするとあと5年で330億円、計算すると、おおむね1,500億円ですから。とすると、今後の事業計画との整合性、これをどのように整理しているのか伺いたいと思います。
中島教育施設課長 新まなびや計画は、平成28年度から令和9年度までの3期12年間の計画であり、計画の中で優先して取り組んでいる耐震対策やトイレ環境改善については、計画第2期の最終年度である令和5年度までに完了する計画としています。また、耐震対策は、老朽化対策とセットで行うことにしているほか、仮設校舎の設置費用も必要となるため、計画後半に行うことにしている総合的な老朽化対策よりも工事費が高くなります。そのため、執行額についても計画前半が多くなるものと認識しておりますが、新まなびや計画全体では、整備事業費との整合性が図られていると考えています。
石川(裕)委員 整合性は図られている、今、御答弁をちゃんと聞きましたから、今後そのようになるか注視をしてまいりたいと思いますけれども、この件について最後、教育長に伺います。 生徒にとって、校舎の安全性はもちろん、学習環境はとても大切です。そして、学校で働かれている教職員の皆さんの職場環境整備という観点からも同様です。 改めて、新まなびや計画の折り返しの年となりますけれども、教育長の計画に対する所見を伺いたいと思います。
桐谷教育長 県立学校は、昭和40年代後半からの高校百校新設計画により建設された学校、校舎が多いことから、耐震基準が強化された昭和56年以前の建物が多く、これまで耐震対策が大きな課題でございました。そのため、県教育委員会では耐震対策を最優先課題と位置づけ、まなびや計画においては大規模補強が必要な建物、新まなびや計画においては小規模補強が必要な建物について整備に取り組んできており、令和5年度までにおおむね完了する見込みとなっています。県教育委員会では、令和6年度からの総合的な老朽化対策を含め、引き続き児童・生徒、教職員の安全で良好な学習環境、職場環境の確保のため、県立高校改革実施計画等との整合を図りながら、新まなびや計画の着実な推進に努めてまいります。
石川(裕)委員 今、教育長から御答弁いただきましたけれども、昨晩も大きな地震がありました。そういう中で、学校という場で耐震化、今、順調に進められていただいていると思いますけれども、できればいち早く、これは進めていただきたい、このことはまず申し上げたいと思います。その上で、まなびや計画から約20年にわたる事業の中で、事業経過がどうしても見えにくくなっているのではないかという視点で今日は質問させていただきました。質疑の中でも申し上げましたけれども、このまなびや計画、新まなびや計画は、長期にわたる計画であるにもかかわらず、期間途中の見直しを検討する旨の記載がありません。新型コロナとかロシアによるウクライナ侵略など、長期計画の中で世の中の状況が変わる場合もあります。ぜひ、この点については今後の課題としていただくよう要望いたします。