マスク飲食実施店認証制度の今後について
石川】新型コロナウイルス感染症拡大に対応するため、県では、「マスク飲食」に積極的に取り組む飲食店等を県が認証し、社会的に評価する「マスク飲食実施店」認証制度の取組みを実施している。しかし、飲食店の現場では、県の認証条件を履行していない店舗も出てきており、そのような店舗でも認証書が掲示されている。
認証制度の条件に当てはまらない飲食店は認証書の掲示をやめてもらい、店舗を利用する客が判断できる制度に戻すことが、今後、マスク飲食実施店認証制度の出口戦略にもつながると考える。
そこで、マスク飲食実施店認証制度について、①制度と飲食店等との現場の温度差についてどのように捉えているのか。また、②これまでの検証、総括を行い、今後に向けた整理が必要と考えるが所見を伺う。併せて、③どのようなタイミングで制度終了の判断を行うのか、判断基準について所見を伺う。
知事】はじめに、制度と飲食店等の現場との温度差についてです。本制度は飲食の場における感染防止対策として昨年4月から運用していますが、今年に入り、オミクロン株が主流となり、行動制限の緩和が進んできたことなどを受け、感染防止対策に対する社会の受け止めも変化してきていると感じています。飲食店等における意識も、店舗により差が生じており、認証店への再訪問の際、多くの店舗ではマスク飲食実施店の認証条件を遵守している一方で、一部の店舗では守られていないケースも見られます。しかし、感染拡大が続く中では、基本的な感染防止対策は継続する必要がありますので、こうした店舗についても、直ちに認証を取り消すのではなく、認証条件を遵守するよう働きかけています。引き続き、できるだけ多くの店舗に協力していただき、マスク飲食をはじめとした、感染防止対策が実施されるよう、粘り強く取り組んでいきます。
次に、制度の検証と制度終了の判断のタイミングについてです。本制度については、既に県内飲食店の約9割が認証店となり、飲食の場での感染防止対策を普及するという目的に対しては、一定の成果があったと評価しています。一方、全数届出の見直しなど、新型コロナウイルス感染症対策が、出口戦略に舵を切り始める中、本制度についても、飲食店に重点を置いた取組のあり方を含め、検証が必要であると考えています。また、本制度は、国の第三者認証制度として実施しており、現時点では、国からは継続の意向が示されているため、認証条件の見直しや、制度終了の判断のタイミングについて考え方を示すよう、国と直接、意見交換を行い、対応を求めています。
今後も、引き続き、国と情報交換を行いながら、県としても医学的見地を踏まえ、効果的な制度となるよう、常に点検を行っていきます。
石川】ご答弁いただいた内容、粘り強くお店の方にお願いしていくということでしたけれども、これでは、正直、現状は変わらないと思います。私は、見回りを厳しくしていただきたいと要望しているのではなく、お店を利用するお客さんが、このお店はしっかりとマスク飲食認証制度を進めているんだということの判断ができる基準が大事だと申し上げています。その上で、ご答弁で、この事業を維持していくとのことでしたので、今、店舗を回っていると、最初に配布したアクリル板などが破損していたり、マスク飲食のポップ、鏡のような企業とタイアップしたポップが色褪せているようなお店もたくさん見受けられます。こういった備品を欲しいというお店に対して、改めて配布するなどの支援が必要と思いますが所見を伺います。
知事】県では、飲食の場における感染防止対策として、当初は飲食店への支援として、アクリル板など、感染防止に使用する物品の無償貸出等を行ってきました。現在は、長引くコロナ禍において、感染防止対策と社会経済活動の両立を図る、ウィズコロナの取組を社会全体で進めていく段階になっています。そのため、各主体において、感染防止対策を実施していくことを基本と考えておりまして、飲食店を対象とした、アクリル板等の設置への支援を再開することは想定しておりません。なお、マスク飲食推奨用鏡付きポップなどの啓発物品につきましては、飲食店等のご要望がありましたら、在庫の範囲内で配布してまいります。
石川】繰り返しになりますが、今一度原点に戻って、お店を利用される方が、本当にこのお店は対策をとっているのか、そうしたことが判断できる、これがマスク飲食認証制度の原点だと思います。残念ながら、在庫がある限りポップをお配りする、では、どれくらいの在庫があるのかもわかりません。三万数千店舗が認証制度を申し込んでいただいている中で、本当にそれだけの在庫があるのでしょうか。是非、積極的にこれをお願いするのであれば、そういうものを、今一度、検討していただきたいと思いますし、今後については、制度の出口戦略を見据えながら施策を進めていただくことを要望します。