石川】令和5年より第5期神奈川県観光振興計画が進められている。この計画では、「観光振興による経済波及効果の拡大により地域が輝くこと」、「観光客だけでなく地域の住民の理解、満足の高まりにより地域が輝くこと」を目指すとしている。これまで、1,000本のモデルコースの在り方について、本数ありきではなく具体的な事例を挙げ、モデルコースの中身と質の重要性について繰返し提案してきた。また、外国人観光客数が戻りつつある中で、この振興計画にはオーバーツーリズム対策が抜け落ちている。
そこで、コロナ禍が平常に戻りつつある中、今後の観光客誘致に向けた取組みやオーバーツーリズム対策について、具体的にどのように検討を進めていくのか所見を伺う。
黒岩知事】県では、これまで、観光客の誘致にあたり、主に観光客数の増加により観光消費額を高める施策に取り組んできました。一方、コロナ禍を経て、地域の自然、文化、暮らしを尊重する、持続可能な観光を重視する傾向が強まるなど観光を取り巻く状況は変化しています。そうした中、人気のある観光地や映画等のロケ地に観光客が集中し、地域住民の生活等に影響を与える、いわゆるオーバーツーリズムが再び課題となりはじめています。そのため、今後の観光振興においては、観光客の誘致とともに、地域住民の理解と満足度を高め、観光の質を高める取組が重要です。
そこで、県は、今年3月に策定した「第5期神奈川県観光振興計画」で、観光振興による経済波及効果の拡大と、観光客、それを受け入れる住民双方の満足度の向上を位置付けました。
今後は、この計画を基に、地域と連携し、県内の周遊を促すことにより、観光客の分散化を図ることで、本県への誘客と住民満足度の向上の両立に取り組みます。
具体的には、県内の様々な観光地を紹介する、いわゆる1000通りのモデルコースについて、スマートフォンの位置情報データに基づき、分析結果を反映させることで、その質を高め、観光客への多様な選択肢として発信するなど、観光客の分散化を図っていきます。
県は、観光客の誘致により、地域経済の活性化を図るとともに、県内周遊の促進による観光客の分散化に取り組むことで、観光客・地域住民双方の満足度を高める観光振興に取り組んでまいります。
石川】鎌倉高校前の踏切のように、いわゆる観光地でない地域に観光客が訪れることで地域住民の生活環境に影響を及ぼすような場合には、対策が必要と考えるが、県としてどのように考えているのか。
黒岩知事】観光客の集中が地域住民の生活に影響を及ぼしている状況は、地域によって、その実情や要因が異なります。県としては、まずは、地元市町村等の意向を踏まえ、地域の実情に応じて必要とされる支援について、広域的な観点から取り組んでまいります。
石川】現在困っている地域の方々や将来の状況に不安を抱えている地域の方々に対して、観光振興計画にはご答弁のとおり、地域住民の満足度向上に沿った対応というものがあります。是非これに沿った対応を進めていただくべきだという風に思います。私は、京都市の事例をお話させていただきましたけれども先進県では様々な事例があるわけですから、観光客や地域の方々が快適に観光そして生活できるための観光客のマナー違反や迷惑行為に対しては警察、今日、本部長はいらっしゃっていませんが、警察や関係機関と連携して、更なる取り締まりや、必要に応じて警備員の配置、監視カメラの設置補助など市町村と協力した具体的な対策を早急に求めます。