石川】観光業はその裾野も広く、対応する業界・業種はさまざまであり、人手不足の現状把握をする部局と施策を立案する部局が異なるため、なかなか対応が進まないのではないかと考えます。そして飲食業に関しても同様と考えます。多くの観光客を誘致しても、それを受け入れる宿泊業をはじめとする観光に携わる人手が不足していては、期待している経済波及効果に至らないことが危惧されます。そして、県はコロナ後の地域経済の活性化を進めるとしていますが、人手不足で需要に応えられないことが、今後の活性化の足かせになることも懸念されます。

そこで知事に伺います。宿泊業や飲食業の人手不足をどのよう認識しているのか。その上で、本格的な県経済活性化を進める中で、県としてこれらの産業に対しての雇用対策を含めた支援が必要と考えるが所見を伺います。

黒岩知事】県はこれまで、宿泊業については、例えば、フロント業務の省力化を図るため、自動チェックイン機やキャッシュレス決済の導入等を支援してきました。また、労働人口が減少する中、企業が労働生産性を高めることができるよう、制度融資による資金繰り支援や、ビジネスモデル転換に要する経費の補助等を実施するほか、企業と求職者をマッチングする就職面接会などを開催しています。
そうした中、今後はインバウンドの増加や消費拡大に伴い、人手不足のさらなる深刻化が懸念されており、雇用機会の拡大と、業務の効率化に対する支援の強化が必要です。
そこで、県では、宿泊業と飲食業に対象を絞った就職面接会を、小田原・箱根地域や横浜・川崎地域など、ホテル・旅館や飲食店が多く立地するエリアで開催します。また、宿泊事業者に対する調査を実施し、人手不足の状況など、現場の課題を具体的に把握していきます。その結果を踏まえ、例えば、新たに設置する「ロボット実装促進センター」を活用し、人手不足等の課題の解決に有用なロボットを提案するなど、きめ細かな支援を行っていきたいと考えています。さらに、国では、外国人材が宿泊業や飲食業などでも、中長期の労働が可能となるよう、特定技能制度の見直しを行っており、県としても、外国人材がこれらの業種で活躍できるよう、受入れに必要な対応を検討します。
このように、人手不足で悩む宿泊業界や飲食業界に寄り添った支援を行うことで、雇用の促進を図り、県経済の活性化につなげてまいります。