石川】次に、カスタマーハラスメント防止に向けた支援の必要性について伺います。

近年、顧客からの理不尽な要求によるカスタマーハラスメントが増加しており、国は労働施策推進法を改正し、企業に対して従業員を守る対策を義務づける方向で検討を進めています。

我が会派では昨年9月の代表質問において、中小企業のカスタマーハラスメントにどのように対応するか質問し、知事は「顧客や取引先からの悪質なクレームや不当な要求は、従業員に過度なストレスを与え、職場環境の悪化を招く大きな問題である」と認識し、「職場のハラスメント相談強化月間」に中小企業向けセミナーを開催し、企業内の相談体制の整備や従業員への研修を紹介する。また、県内各所で実施される街頭労働相談でカスタマーハラスメントの相談も受け付ける」と答弁がありました。さらに、国の対策マニュアルや相談窓口の情報を集約した特集ページを県ホームページに新たに作成し、中小企業の対策を後押しするとも述べられました。実際に県のホームページを確認すると、厚労省の事例動画を交えた特集ページが作成されていましたが、その特集ページを見つけだすことが容易ではなかった点は指摘しておきます。

今回の質問にあたり、製造・流通・総合サービス産業を中心に185万人で組織されているUAゼンセンの方々からお話を伺いました。UAゼンセンは2017年から悪質クレームに関する調査を実施しており、先日発表された2024年1月18日~3月18日にUAゼンセン所属組合員に行ったアンケートでは、210組合、33,133の回答件数があり、「直近2年以内に迷惑行為被害にあったことがある」という回答は46.8%にのぼり、また、「あなたの企業で実施されている迷惑行為への対策」についての質問では、「とくに対策はなされていない」が42.2%で最多となっており、他、「マニュアルの整備」や「専門部署の設置」などが続き、被害者へのケアも非常に低い数値にとどまっています。このように、カスタマーハラスメントの啓発活動や企業の対策の整備はもちろんのこと、国や地方自治体による対策を求める声が連合の調査等で明らかになっています。一方、東京都ではカスタマーハラスメント防止条例の制定が検討されているほか、三重県や愛知県、北海道なども対応を検討しています。札幌市では窓口に啓発ポスターを掲示することや、電話の通話内容を録音する旨のメッセージを流すことで暴言が減少したとの報告があります。

そこで知事に伺います。カスタマーハラスメントは労働者や企業にとって深刻な問題です。企業などから現状を聞き取り、県として全体像を把握するとともに、カスタマーハラスメントに対する啓発活動をさらに強化するなど、産業別や現状に即した対応策を検討する必要があると考えますが、知事の所見を伺います。

知事】次に、カスタマーハラスメント防止に向けた支援の必要性についてです。
カスタマーハラスメント、いわゆるカスハラは労働者の就業環境を害するものであり、県では、ハラスメント対策講演会などにおいて、カスハラ防止に向けた啓発活動を実施してきました。カスハラが社会問題化し、国もカスハラ対策の法制化を進めようとしている中、県としても、状況を把握し、どのような対策が有効なのかをしっかりと考えていく必要があります。そこで、県では、事業者や組合等にヒアリングを行うなど、カスハラの実態をしっかりと把握するとともに、国や労働組合等が実施しているカスハラに関する調査等を分析していきます。分析結果を踏まえ、ハラスメント防止研修の実施や従業員の通報窓口を設置するなど、具体的な対策を事業者が検討できるように、講演会等の内容を工夫していきます。さらに、国は、過労死等防止対策大綱の改定案において、企業の対策事例を周知するなど、カスハラの業種別対策の取組支援を行うこととしています。そのため、県としても、国と歩調を合わせた対策を行うことで、県内企業のカスハラ防止に向けた取組をしっかりと支援してまいります。

石川】再質問させていただきます。昨今、報道でも取り上げられ現場での対策は待ったなしの状況となっています。事業者や組合等の意見を伺うことを検討したい旨の答弁がありました。具体的な時期を伺います。

知事】それでは、再質問にお答えいたします。カスタマーハラスメントに係る組合等へのヒアリングについてのお尋ねでありました。カスタマーハラスメントが社会問題化する中、県としても早急に現状を把握していくべきと考えております。今後、県は、労働組合等と調整の上、できるだけ早期にカスハラの実態についてヒアリングを行ってまいります。

石川】私自身も飲食店で約13年勤務しておりました。人と接することが好き、接客がしたいと希望し働かれている方が、カスタマーハラスメントの対応が遅れる、なされないという理由で退職してしまい、結果的にサービス業の人材不足につながっているとの声も伺っています。ぜひ、早急な支援、対応を求めます。