石川】質問の第2は「かながわの未来を考える取組みについて」伺います。

はじめに、子育て支援の現状と今後の取組みについて です。

県では、すべての子どもが健やかに成長できる社会を目指し、「かながわ子どもみらいプラン」を平成27年3月に策定しました。令和元年度には現状の課題や県民の意見を反映し、「かながわ子どもみらいプラン(令和2年度から令和6年度)」として改定し、子ども・子育て支援施策を総合的かつ計画的に推進してきました。今年度はプランの最終年にあたります。

昨年9月に発表された「かながわ子どもみらいプラン」の令和4年度点検・評価結果報告書によると、県内各市町村では保育の受け皿確保に努めているものの、出生数の減少に伴う需要量の減少が予想以上で、保育所や認定こども園などの供給量と需要量が均衡に近づきつつあります。しかし、1~2歳児については需要量が供給量を上回っており、引き続き低年齢児の保育の受け皿確保が必要とされています。市町村別に見ると、21市町では供給が不足している一方、12市町村では供給が満たされています。このため、保育の受け皿確保に苦慮している市町村を支援し、保育の質の向上も求められています。

この質問にあたり、私は兵庫県明石市に伺い、担当者の方からお話を伺わせていただきました。明石市では、子どもを中心としたまちづくりを進め、子ども医療費の高校3年生までの完全無料化や第2子以降の保育料完全無料化などの施策により、子育て世代を含め11年連続で人口が増加しています。これは市単位での取り組みであり、県内各市町村においてもさまざまな支援策が行われていることは承知しています。その中で、県は国や市町村と連携して子ども施策を重点的に進めていく方針を示しています。

令和5年度の県民ニーズ調査では、「安心して子どもを生み育てられる環境」に対する満足度が16.5%に低迷し、不満とする回答が多くを占めています。県として、子どもや保護者の視点に立ち、総合的な子ども施策の検討が必要であると考えます。具体的には、低年齢児の保育の受け皿確保や、地域差のある課題に対する支援の強化、「保育の質」の向上を通じ、安心して子どもを生み育てられる環境づくりに努める必要があると考えます。

そこで、知事に伺います。県民ニーズ調査で満足度が20%に満たない現状を踏まえ、今後どのように子ども・子育て支援施策を進める予定なのか、知事の所見を伺います

知事】かながわの未来を考える取組みについてお尋ねがありました。まず、子育て支援の現状と今後の取組みについてです。
県では、子ども・子育て基金を設置し、保育所等における使用済み紙おむつの処分費用や、お昼寝用の簡易ベッドの整備などを支援する、手ぶらで保育などの子育て支援策を実施しています。こうした中、本年4月1日現在の保育所等の待機児童数は188人と、昨年の222人からは減少していますが、いまだ多くの方が希望どおりの保育所に入所できていないなど、子育てをめぐる環境は依然厳しい状況にあります。また、昨年、県内全ての市町村に出向いてヒアリングを行ったところ、子供の数が減り、学級数も減っているという声や、子育て世代が増え、保育所が足りないという声もあるなど、地域ごとの課題は様々であることが分かりました。
現在、県では、こども基本法に基づく県こども計画の策定を進めており、保育の受皿確保については、策定作業の中で、今後の市町村の需給見通しを把握し、特に低年齢児の定員拡大に努めます。また、研修などを通じた保育の質の向上も併せて進め、待機児童ゼロを目指していきます。さらに、当事者である子供や保護者、保育所、市町村などと意見交換の場を設定し、子育てしやすい社会環境づくりに必要な施策などを丁寧に伺い、計画に反映させ、着実に実行していきます。
県では、新かながわグランドデザイン実施計画において、子育て環境の満足度22%を目標としていますが、安心して子供を産み育てる環境づくりの充実に努め、さらなる満足度向上を目指してまいります。