石川】次に、教職員の不祥事対策についてです。

令和5年度、本県における教職員の懲戒処分者は18人となり、そのうち性犯罪・性暴力等の事案に係る処分者が11人にのぼりました。これは、不祥事ゼロ運動を開始した平成18年度以降で最も多い数字となっています。約2万9千人の教職員がいる中で、一部の教職員の行為が神奈川県の教育の信頼を損ねていると感じています。そして、多くの教職員が真面目に職務に取組んでいることは理解していますが、これまでで最も多い件数であり、看過できない状況であると考えます。

県教育委員会では昨年度、県立学校教職員の逮捕事案が相次いで発生したため、臨時の県立学校長会議が開催されました。また、教職員のコンプライアンスマニュアルの改訂や、私が以前提案した性被害を受けた被害者の声を研修で伝える取組み、さらに花田教育長自らが全教職員に対して動画で緊急メッセージを発信するなどの対策が実施されたと承知しています。

令和3年10月の文教常任委員会質疑の中で、当時の教育長から「児童・生徒へのわいせつ事案は絶対にあってはならない」とし、令和3年に行われた有識者会議の提言を踏まえ、不祥事を他人事ではなく自分の問題として全教職員に徹底していくとの答弁がありました。これまで被害に遭った児童・生徒やその保護者に対して、このような事案を二度と起こさないという誓いがどれだけ実行されているか懐疑的であり、本当に教育長の想いが現場に伝わっているのか疑問に感じています。

一方、これだけの不祥事が続いたにもかかわらず、今後の取組みについては「従来の施策の効果検証」「モデル校の指定と実証」「逮捕による影響等に関する新規研修の実施」などが挙げられています。しかし、これらの取組みはすべて教育委員会内部で行われるものであり、これだけの不祥事があったならば、令和3年のように有識者会議などを実施し、外部の目を入れる必要があると考えます。また、倫理観の向上を掲げ、さまざまな研修を増やしていますが、わいせつ事案防止のため、年1回であったセクハラに関するアンケートを複数回にするよう提案し、年2回となったもののこれをさらに学期ごとに回数を増やすことや、大分市を事例にした公的携帯電話の導入など具体的な校内環境(システム)の整備や再発防止を目的とした専門家との積極的な連携が必要と考えます。 

そこで教育長に伺います。令和3年の有識者会議で提案された方策についてこれまでどのように対応し、その評価をどのように捉えているのか。また、わいせつ事案防止のための具体的な校内環境(システム)の整備と併せて有識者会議など外部への協力を求めることが必要と考えますが所見を伺います。以上です。

教育長】 教職員の不祥事対策についてお尋ねがありました。
県教育委員会では、令和3年のわいせつ事案防止対策有識者会議の提言に基づき、倫理指針の作成やSNSによる私的な連絡禁止などの取組を真摯に進めてきました。その結果、令和4年度は、懲戒処分の件数が減少しましたが、昨年度は、性犯罪・性暴力に関わる懲戒処分が不祥事ゼロ運動を始めた平成18年度以降、最多となってしまいました。その背景には、自分も不祥事を起こすかもしれないという意識が時間の経過とともに薄れていることがあると考えており、私は強い危機感を持っています。
そこで、今年度から総合教育センターで行う全ての研修の冒頭で、メッセージ動画により、不祥事防止を繰り返し注意喚起する取組を始めました。また、採用間もない教職員の不祥事が多い現状から、新採用教職員の辞令交付式で、あなたも不祥事を起こす可能性があることを直接訴えるなど、様々な場面で不祥事防止を啓発しています。さらに、昨年度の不祥事の事例を踏まえて、例えば、教室の鍵の貸出し状況や履歴の管理を徹底させるなど、環境整備のさらなる取組を検討し、この秋からモデル校で試行していきます。その取組状況については、複数の有識者から助言を頂くなど、外部の協力を得ながら、より実効性のある取組へと高めてまいります。

石川】再質問させていただきます。有識者から話を聞くということで、有識者会議のようなものは今のところ設置しないと理解しました。では、どのような有識者の方に、どのような時期に話を伺い、その提言をどのタイミングで施策に反映させるのか確認させていただきます。

教育長】どのような有識者から、どのような形で意見を聴くのかなどについてお尋ねがありました。本年秋から施行いたしますモデル校での不祥事防止の取組について、有識者から意見を具体的に聴いていきたいと考えておりますが、その際には、現場を見ていただくことなども考えています。人選についてはこれから考えることでありますが、前回の有識者会議とは異なって、犯罪の心理に詳しい有識者なども想定されるところであります。こうした現場を見ていただく、特に犯罪面、心理面からアプローチを頂く、このような前回の有識者会議とは異なるアプローチで、具体的なモデル施策に対して意見を伺う、そういう段取りを今後検討してまいります。

石川】教職員の不祥事対策について少し厳しいことを述べさせていただきます。今回の質問に際し、教育委員会が示している今後の具体的な取り組みについて事前に調べましたが、モデル校を指定して有効な対策を実証するとされているものの、今回、秋と言う時期は示されましたが、具体的な学校名は未定であり、校内環境システムの構築内容もまだ検討中でありました。新年度からもう2ヶ月以上経過しています。先月、県立学校での2023年度のセクシュアルハラスメント被害のアンケートでも被害が前年度より増えたと発表がありました。本当に危機感を持って取り組んでいるのかと感じています。ぜひ早急に具体的な施策を進めていただくよう強く求めます。