石川】次に 生活困窮者対策推進本部の検証結果と今後の方針について 伺います。
昨年6月の一般質問で、「今後の生活困窮者対策」として、知事に対し、生活困窮者対策推進本部長として事業の進捗状況と成果をどのように認識しているのか伺いました。その際、知事から「推進本部の運営にあたり、私が本部長として、徹底的に生活に困窮する県民の目線に立った施策を展開するよう指示している。それらは、令和5年度当初予算に反映されており、今後、本部会議を開催して、これらの施策が県民に届いているかどうか、私自身で確認する予定であり、引き続き、しっかりとPDCAサイクルを回していきたい」との答弁がありました。
さらに、コロナ禍で活動が困難になった子ども食堂や食料支援活動、当時新設したケアラー、ヤングケアラーのLINEや電話の相談窓口等を事例に挙げ、「生活に困窮する当事者の目線に立って、様々な取組みを行ってきたが、今もコロナ禍の影響を完全には払拭できておらず、物価高騰も加わって依然厳しい状況にある。今後も引き続き本部が中心となり、企業やNPOと連携して、生きづらさや暮らしにくさを抱える方々の支援に全力で取り組んでいく」と述べられました。
その際、私は推進本部の役割に大きな期待を寄せる一方で、年、数回の本部会議だけでは実効性のある施策を迅速に検証できるのかとの懸念を示し、知事には、積極的に推進本部を活用し、支援が必要な方々に迅速に届ける仕組みを作るとともに、その成果をしっかりと検証し、より実効性のある支援に繋げるよう求めました。また、昨年度の特別委員会でこの推進本部の事業内容に「介護の担い手の拡充」「介護職等の資質向上」が挙げられている理由やその事業内容であるトレインビジョンについて質問し、検証結果の在り方を含め事業内容の精査を求めています。
そこで知事に伺います。令和5年度に実施された生活困窮者対策推進本部の各事業について、支援が必要な方々に迅速に届く仕組みの構築を含め、その成果と検証結果についてどのように評価されているのか。また、推進本部の事業内容の精査を含めた今後の方針とその実効性をさらに高めるために、どのような取組みを検討しているのか、所見を伺います。
知事】生活困窮者対策推進本部の検証結果と今後の方針についてです。
生活困窮者対策推進本部では、生活困窮当事者や支援に携わる方の意見を伺いながら、困難を抱える子供や女性、孤独・孤立に陥っている方などに対して、様々な支援に取り組んできました。例えば、物価高騰の影響を受けている子ども食堂などへの支援金については、昨年度、申請受付を早めたり、支給要件を緩和するなどを工夫し、前年度より多い1,500を超える団体に速やかな支給を行いました。また、昨年度から、女性総合相談において、新たにLINE相談を開始したところ、これまで500件を超える相談が寄せられ、不安や様々な生活上の課題を抱える女性を支援につなげることができました。さらに、ヤングケアラーやひきこもりの方のLINE相談は、気軽な相談ツールとして受け入れられ、昨年度の相談件数は、ケアラーで263件、ひきこもりで978件と、それぞれ前年度の2倍近くとなっています。
このように、本部の取組はおおむね順調に進捗していると評価していますが、物価高騰等の影響はいまだ大きく、県民の皆様の暮らしは厳しい状況が続いています。県では、本年3月に策定した新かながわグランドデザインのプロジェクトの一つに生活困窮を位置づけ、多様な担い手と連携し、声を上げない、上げられない方へ積極的にアプローチすることとしました。また、5月には、孤独・孤立対策に取り組むNPO等が参画した官民連携ネットワークを立ち上げました。今後、生活困窮者対策推進本部を中心に、ネットワークと連携しながら、孤独・孤立に悩む方が必要な支援につながるよう、しっかりと取り組んでまいります。