石川】質問の第1は「選ばれるかながわに向けた取組みについて」伺います。はじめに 県の人口ビジョンと出生率向上に向けた施策について です。

今月5日、国が2023年の人口動態統計を発表し、女性1人が生涯に産む子どもの推定人数である合計特殊出生率は1.20となり、過去最低を更新しました。この統計によると、神奈川県の合計特殊出生率は1.13で、前年より0.04ポイント低下し、過去最低を記録しています。県では2015年度に「神奈川県人口ビジョン」を策定し、それまでの人口動向を分析し、克服すべき課題として「人口減少に歯止めをかける」、「超高齢社会を乗り越える」の2つを設定しました。その解決に向けて「合計特殊出生率の向上」「マグネット力の向上」などの3つのビジョンを掲げ、県民、企業、団体、市町村などと広く共有してきました。

人口ビジョンにある将来展望には、活力ある神奈川を維持するためには「人口減少に歯止めをかける」ことが急務であり、合計特殊出生率を将来的に人口が増加も減少もしない均衡した状態となる「人口置換水準」2.07まで引き上げることが不可欠であると指摘しています。また、出生率の回復には時間がかかるため、克服すべき課題の2つを同時に解決しなければならないとしています。県では、この合計特殊出生率を2027年までに県民意識調査で判明した希望出生率1.42の実現を目指し、2050年には2.07の水準にする目標を掲げています。そして、若者の結婚・子育ての希望を実現するための支援が不可欠、特に、若者を取り巻く厳しい雇用環境の改善や経済的基盤の確保が求められている。また、生まれた子どもを健康に育てるための環境づくりや、仕事と子育ての両立を図るための働き方改革も重要な要素だとしてこれまでもさまざまな施策が進められてきました。

しかし、県内の合計特殊出生率は、3年前の1.22から一昨年の1.17、そして昨年の1.13と低下し続けており、掲げられた目標達成には厳しい状況が続いています。そして、今回の2023年の出生率低下を受けて、県は子ども施策を重点的に推進し、国や市町村と連携して取り組むとの方針を示しています。 

そこで知事に伺います。これまでの出生率向上に関する取組みの効果測定をどのように行い、出生率の減少の原因をどのように捉えているのか。その上で、今後の長期的なビジョンと中期的な目標について現状の数値を基にし、今後の達成に向けた具体的な施策をどのように推進していくのか、所見を伺います。

知事】 石川議員の御質問に順次お答えしてまいります。選ばれるかながわに向けた取組みについて、何点かお尋ねがありました。
まず、県の人口ビジョンと出生率向上に向けた施策についてです。
初めに、これまでの出生率向上に関する取組の効果測定と出生率減少の原因についてです。これまで県は、神奈川県まち・ひと・しごと創生総合戦略において、出生率向上に関する取組とともに、目指すべき出生率も目標に掲げ、毎年度その達成状況を把握することで効果を測定し、有識者からの意見を頂きながら制度改善を図ってきました。しかしながら、県内の出生率はここ数年、低下し続けており、この要因は一人一人の不安にあるのではないかと感じています。具体的には、出産や育児、経済的負担、仕事との両立の不安とともに、地域コミュニティーの希薄化など、少子化には複合的な要因があると考えています。
次に、目標達成に向けた具体的な施策の推進です。出生率の向上を図るためには、結婚、出産、子育てを社会全体で支える支援策が不可欠です。そこで、県は、戦略に基づき、子供を産むなら神奈川、子育てするなら神奈川をキーワードに、結婚から育児までの切れ目のない支援を行っています。具体的には、市町村とも連携し、経済的基盤の安定や、妊娠・出産を支える社会環境整備などの支援策をさらに充実させ、一人一人の不安を解消します。また、かながわ子育てパーソナルサポートなど、デジタル技術を活用し、地域コミュニティーの希薄化による子育て世代の不安を解消するとともに、社会全体で子育てを応援する支援策も進めていきます。
このように、戦略に掲げた取組を県民の皆様や企業、市町村とも共有し、オール神奈川で一丸となって出生率の向上を目指してまいります。

石川】知事・教育長よりご答弁いただきましたが、何点か再質問させていただきます。

まず、県の人口ビジョンについてです。現在、直近の2027年には「合計特殊出生率」を1.42、2050年には2.07の水準を目指しとしています。2027年まであと3年です。昨年の1.13から1.42まで0.29ポイントをあげなければなりません。この目標をどうするのか。1.42を目指すのであれば具体的に新たにどのような施策でこの目標を目指すのか、伺います。

知事】再質問にお答えいたします。
まずは、出生率の目標及び出生率向上の新たな具体策についてのお尋ねでありました。まず、出生率については現在、2027年度に1.42にすることを目指しております。今後、国から示される最新の人口データを踏まえ、今年度中に人口ビジョンを改定しますので、その作業の中で、改めて、今後の目標についても検討していきたいと考えています。
次に、出生率向上の具体策としては、妊娠・出産への支援を強化するため、市町村と連携して、先進医療に指定されている不妊治療費の助成を今年度から行います。また、仕事と育児を両立できる職場環境の整備や、男性の育児休業取得促進に取り組む中小企業等を支援するため、新たに奨励金も交付します。そのほかにも、市町村ごとに異なる子ども・子育ての課題を解決するため、市町村が提案する事業に対する補助制度を創設しました。このように、様々な分野において新たな取組を講じ、出生率の向上を目指してまいります。

石川】要望を申し上げます。1.42を目指すための具体的施策の答弁を頂きましたが、当初人口ビジョンで2025年に1.42の指標を置いていたにもかかわらず、第3期神奈川県まち・ひと・しごと創生総合戦略目標は2027年に先延ばしされている。このままでは、目標がより先延ばしになるか、目標数値がいつの間にか下げられるのではないかと危惧しています。今後の具体的施策について、しっかりと効果測定を進めて頂きたいと思います。