石川(裕)委員 先行会派でも質疑が行われていましたが、私からも、農業の担い手確保について伺います。まず、農業というと農業アカデミーが想像される部分が多々あると思うのですが、それ以外にも農業の担い手育成事業があります。そこで、農業の担い手育成事業と女性の農業進出促進支援事業、この2点の平成30年度の決算額を伺います。
農業振興課長 農業担い手育成事業費の決算額については189万4,000円、女性の農業進出促進支援事業費については571万3,000円です。
石川(裕)委員 予算額が、農業の担い手育成事業費、国庫も入っていますが、300万円ぐらい。そして、女性の農業進出促進支援事業に関しては640万円ぐらいの予算を組まれています。今、これを達していない理由は何でしょうか。
農業振興課長 予算額と決算額の関係で、特に女性ですが、まずこの事業の中に女性の農業を目指す人、研修した方に対する受入先への支援金があります。こちらの見込みに対して、実際は人数が少なかった状況が主な理由になっています。担い手育成事業費の減額の関係ですが、農業技術センターで取り組んでいる、農業セミナーを昨年度、外に視察する回数が減少したため、それに伴うバス代の減少等で、減額になりました。
石川(裕)委員 まず、担い手育成事業費の目的の中で、新規就農者の確保・育成と神奈川の農業の将来を担う人材を育成するため、この事業費が組まれています。かながわ農業活性化指針、そしてかながわグランドデザイン等でも、まず安定的な農業の生産、そして次世代の継承の一番最初に、新規就農の促進についてうたわれている部分があります。農業活性化指針の中で、新規参入者・法人数の目標数値が設定されています。これは平成29年3月に改定されていますので、そのときの数字と理解をしますが、平成27年度の新規参入者は年38人、新規参入法人者数は4法人でした。平成30年度はどのような状況だったのか、伺います。
農業振興課長 平成30年度については、新規参入者が44人、参入法人は6法人です。
石川(裕)委員 平成38年度、令和8年度まで目標数値が書かれています。平成38年度の新規参入者は45人、新規参入法人は5法人、これは毎年ですが、神奈川県として、新規参入者、そして法人数のゴールは大体どれぐらいなのですか。全体の目標数値は、どのように捉えているのでしょうか。
農業振興課長 新しいグランドデザインでは、700万円以上の農業経営体を確保するための数字を90としています。この内数としては、新規参入者と法人数としており、当面は新しいグランドデザインの目標の、今年度から始まる4年先の90の確保に向けて、新規参入者と法人数の目標も達成していくということで取り組んでいます。
石川(裕)委員 かながわグランドデザインは4年間ですが、指針だと平成38年度まで数字を書かれています。高齢化も一つの原因だと思いますが、平成38年度まで組まれているということは、実際に神奈川県の新規就農者を、いつまでに、何人という目標があるのですか。
農業振興課長 先ほどの90の数字については、農林業センサスの数字を見て、その減少度合いで、必要な数字を置いています。新しいセンサスについては、2月にまた調査が行われ、翌年、数字が出てくると思いますので、その数字を見ながら、また再検証するべきものはやっていきたいと考えています。
石川(裕)委員 今、かながわグランドデザインの話をされていますが、確かに90という数字はかながわグランドデザインでは出ていません。しかし、この指針では、平成38年度は45人です。この差はどのようなことなのでしょうか。
農業振興課長 指針についても、作成時の数字で置いていますが、おおむね5年たつと指針も情勢を見ながら見直していく作業を通常行ってまいりますので、次のセンサスの結果を見ながら、その数字が妥当かどうか、再度検証を進めてまいります。
石川(裕)委員 平成38年度は指針では45人、これは平成29年3月に改定したのですよね。そして、かながわグランドデザインがまた改定される中で、これは連携されているものですよね。
農業振興課長 90につきましては、新規の参入者の数と雇用就農者の数、また法人の数で、合わせて90としています。 活性化指針においては、特にその中で新規の参入者と法人で、雇用の目標は活性化指針では置いていない状況です。
石川(裕)委員 なぜこのようなことをお伺いするかというと、農業の高齢化、そして農業の担い手不足はずっと言われ続けています。毎年予算がついて、平成30年度だけではなく、平成28年度も平成29年度も、毎年この事業が進められています。このゴールは、一体いつなのかということなのです。少しずつ農業を集約していくことも考えられていますが、高齢化が進んでいく中で、神奈川県は、どこに焦点を合わせて、いつまでこのことを進めていくのか伺っています。
農業振興課長 高齢化により、どうしても上の方がリタイアする中で、新しい人を入れる、新規参入の仕事、また、入った後、経営の段階に応じて引き上げていく仕事等をやっているところで、今の段階でいつまでという状況にはないと考えています。
石川(裕)委員 視点を変えて質問しますが、新規就農について、農業は難しい、敷居が高いと言われている部分があります。そのような中で、中核的な経営体へ支援をする、拡充することもありますが、この中核的経営体への支援はどのようなことでしょうか。
農業振興課長 農業センサスで販売額別のデータがあり、700万円が多いか、少ないかはございますが、現在、おおむね700万円以上の販売額を上げる経営体ということで、何とか農業で自立していける水準で考えています。
石川(裕)委員 平成30年度は、平成29年度と比較して予算がふやされています。この予算がふやされている理由として、中核的経営体への報償費が増加すると書かれていますが、実際どのような状況なのでしょうか。
農業振興課長 トップ経営体の研修事業等もやっていますので、こういった方へのフォローの強化に取り組んでいるところです。
石川(裕)委員 農業の担い手育成事業費の中身を見させていただくと、非常に多くのことが書かれています。例えば、就農支援として、ワンストップサービスと連携した就農に関する情報提供等や新規就農者の掘り起こしを行う。新規就農者に対して、基礎的な技術取得と早期経営確立のための訪問指導及び研修を行う。このようなことがいろいろ書かれていますが、実際に農業の担い手育成事業費についてお聞かせいただくと、大変残念ながらこの予算、全部使えということではないですが、今、農業の現場は本当に高齢化と人手不足が言われていますので、使われていない理由について伺います。例えば、酪農だと、県の教育委員会と連携をして、酪農家で高校生が働いたり、研修に行くということを環境農政局が中心になって、県の教育委員会と連携して、そのような事業を進めることを、今年度やられるという予算を組まれています。そのようなことは、農業ではやらないのでしょうか。
農業振興課長 農業高校とは定期的に連携会議等をやっている状況もあります。また、農業アカデミーでも、毎年多くの農業高校の出身者が推薦等で来ている中で、新規就農の取り組み、あるいは就農後の支援の中で、連携して取り組んでいきたいと考えており、今のところ、新たな取り組みは考えていません。
石川(裕)委員 それでは、視点を変えて質問させていただきます。 もう一つ、女性の農業進出促進支援事業があります。先行会派からも質問がありましたが、女性の農業進出に関しては、当然かながわの農業活性化指針にも記載されています。この促進事業費を確認させていただくと、農業系大学の女子学生等を対象に、職業としての農業の魅力をPRするためのガイダンス、体験研修を開催するとされています。どのようなところに、どのようなことをやられたのか、伺います。
農業振興課長 東京の農業大学に伺い、就農までの流れ、あるいは支援制度の紹介をしています。
石川(裕)委員 結果を教えてください。
農業振興課長 東京農大については、5名の参加で、即就農という結果は出ていません。
石川(裕)委員 平成30年度の決算の質問をさせていただいていますが、東京農大を選ばれた理由、そしてほかの大学ではこのようなことはやられていないのか、伺います。
農業振興課長 日大でもやっていますが、県内の農業系大学で声をかけました。ただ、明治大学等にも農学部がありますが、声をかけたところ、話が合わなかったところもあります。
石川(裕)委員 そのほかにも、活性化指針で、新規就農者の女性割合の目標設定がされていますので、平成30年度の結果を伺います。
農業振興課長 全体の就農者数161名に対して、女性が33名、割合として20.5%です。
石川(裕)委員 その20.5%は、平成30年度の目標値は達成されたのでしょうか。
農業振興課長 目標を25%としており、前年度は17.7%ですので、その意味ではまだ達成されていない状況です。
石川(裕)委員 新規就農者数の女性の割合という指針があるのですが、この指針で人数ではなくて、割合にした理由は何かあるのですか。
農業振興課長 全体人数をふやしていく中で、女性の割合もふやしていきたいということで、女性に特化した人数設定ではなく、割合で設定しています。
石川(裕)委員 農業を新規でされる方に関しては、45人という数字を明確に出されているわけです。そのうち、割合は、例えば20%や10%にすれば、新規参入者の女性の割合は、例えば4.5人や5人になるわけです。数字ではなく、あえて割合にされている理由を教えてください。
農業振興課長 女性の分母の161人という数字については、農業後継者も含んでおり、少し45と違った数字を分母で置かせていただいていますので、こちらは割合です。
石川(裕)委員 繰り返しになりますが、女性の農業進出に関しても、農業の新規就農者が今、不足しているといった、いろいろな課題があると思います。 改めて、今の答弁で伺いますが、神奈川県として、新規就農者がふえない理由は、どのように捉えているのですか。
農業振興課長 農業後継以外からの新規就農者は、基本的には増加傾向にあります。また、農業後継者も加えた、先ほどの161人という数字もありますが、これもここ5年間、あるいはその前の5年間を比べると、増加している状況にありますが、まだ、以前に比べると目標に達していない状況ですので、引き続き伸ばしていく必要があると考えています。新規参入の課題は、やはり横浜、川崎にお住まいの方はなかなか近くでは見つからなかったり、あるいはまとまった農地が確保できない、プラス少し経済的に見通しがつかないという話も聞くところです。
石川(裕)委員 今の課題を持たれて、農業に対する新規参入者のさまざまな政策を私は打っていくべきだと思います。そのような中で、後継者不足は初期投資と収入のバランス、初期投資に見合った収入が最初の数年は難しいと言われている点が、なかなか新規参入につながらない部分もあると思うのですが、その点について、神奈川県として何か政策を打っていくべきだと思うのですが、その点についてはいかがでしょうか。
農業振興課長 就農初期から一番長くて就農5年目まで、年間最高で150万円を給付する国の事業があり、こちらの事業の有効利用で、経済的に余り十分ではないとは思いますが、フォローをしている状況です。
石川(裕)委員 その給付を使われている方は、どのぐらいいるのですか。
農業振興課長 5年間ということで、2年目、3年目の方も重なってきますが、平成30年度は18人です。
石川(裕)委員 18人は、全体の新規に参入された方、何人のうちの18人なのですか。
農業振興課長 新規参入の分母は、44人となります。
石川(裕)委員 44人中18人が国の給付を使われている。そのほかの方は使われずに、農業に新規参入されていると理解いたします。そのような中で、活性化指針において、今後も安定的に農畜産物の供給を行っていくために、高齢化によりリタイアした農家の生産量の減少分をカバーする経営体を確保していくことも大事だと言われています。経営体を育成していくことに関しては、平成30年度はどのようにやられているのですか。
農業振興課長 各地区にございます農業技術センターが、就農の初期段階、基礎セミナーから段階に応じてフォローして、また、個別に農家に巡回をして、農業の補助において課題の解決をしている。そのような中で、最終的に今のところの仕組みとしては、トップ経営体で研修制度も設けています。
石川(裕)委員 経営体の話をしたのは、この経営体の中で育てることによって、新しく就農をすること、就農連携を行うことが一つの目的でもあると思います。その点については、新しく農業で、例えば高校生が卒業してすぐ農業をやることは、就農することができないが、このような経営体を育てることによって、そのような人たちが就農できる環境をつくることが経営体を育てる一つの目的だと思うのですが、その点について、平成30年度はどのような状況なのか、伺います。
農業振興課長 かながわ農業版MBA研修の目的として、委員おっしゃるように、雇用できる経営体の育成があります。MBA研修の修了生については、規模拡大等する中で、アカデミーの卒業生を雇用した実績が平成30年度ございます。
石川(裕)委員 質問を終わります。