石川】昨年12月の一般質問では、事業の進捗状況と成果を生活困窮者対策推進本部の本部長としてどのように認識しているのか伺い、「2023年の年初に3回目の会議を開催し、事業の検証を行い、当事者目線に立った施策をさらに進め、スピード感を持って生活困窮者対策に取組んでいく」との答弁があった。そこで、以前より求めてきた推進本部のこれまでの事業の検証と総括の結果はどうであったのか。そして、令和4年12月の答弁で述べられた当事者目線に立った施策は、具体的にどのようなものがあげられるのか。また、新型コロナの感染症法上の分類が2類相当から5類に引き下げられた中で、今後、生活困窮者対策推進本部の継続・解散を含めた方針についてどのように検討されているのか所見を伺う。
黒岩知事】生活困窮者対策推進本部では、生活困窮者や支援に関わるNPOなどの意見を伺いながら、コロナ禍で特に色濃く影響を受けた、子ども、女性、孤独・孤立に陥っている方々の支援に取り組んできました。例えば、コロナ禍で活動が困難になった子ども食堂や、食料支援活動などを支える協力金は約8,500万円が、約700の団体に活用され、活動の継続に貢献することができました。
また、新設したケアラー、ヤングケアラーのLINEや電話の相談窓口では、約200件の相談に応じました。さらに、企業の寄付を活用した、生活困窮の若者の進学や就職の支援事業は150人を超える方に支援を行い、実際に支援を受けた若者からは、「自立に挑戦するチャンスをもらえた。」など感謝の声をいただいています。このように本部の取組は、概ね順調に進捗していると評価しています。
また、当事者目線に立った施策ですが、生活困窮者やNPOなどから、支援制度や相談窓口の情報が、実際に困窮している方々には、十分に届いていないという意見をいただきました。
このため、スマートフォンから支援情報を簡単に入手することができるよう、ポータルサイト「さぽなび かながわ」を今年2月に開設したところです。開設後、生活支援の情報が届きにくい外国籍県民の方や高校生などにも、実際に使っていただき、情報入手のツールとして期待の声をいただきましたので、今後も、当事者目線で、このサイトをブラッシュアップしていきます。これまで生活困窮者対策推進本部では、生活に困窮する当事者の目線に立って、様々な取組を行ってきましたが、私たちの暮らしは、今もコロナ禍を払拭できたとは言い難く、足元の物価高騰等も加わって依然厳しい状況にあります。
今後も引き続き本部が中心となって、企業やNPOなどと連携しながら、生きづらさ、暮らしにくさを抱える方々の支援に全力で取り組んでまいります。
石川】答弁の中で、推進本部は今年度も継続していくと理解しました。今後、推進本部をどのように運営し、そして活用していくのか、伺いたい。
黒岩知事】生活困窮者対策推進本部の運営にあたっては、私が本部長として、徹底的に生活に困窮する県民の目線に立った施策を展開するよう指示しておりまして、それらは、令和5年度当初予算に反映されております。今後、本部会議を開催して、これらの施策が県民に届いているかどうか、私自身で確認する予定でありまして、引き続き、しっかりとPDCAサイクルを回していきたいと考えております。
石川】これまでも申し上げてきましたけれども、部局間で連携して支援に取り組む推進本部の役割には、本当に大きな期待をしています。しかし、これまでも答弁いただいた中で、年数回の本部会議だけでは、実効性のある施策を迅速に検証できるのか危惧しています。知事には、積極的に推進本部を活用していただいて、支援が必要な方々に迅速に届く仕組みを作るとともに、結果をしっかり検証して、より実効性のある支援に繋げていただくことを求めます。