石川】次に外国につながりのある子どもの教育について伺います。

令和6年1月1日現在、神奈川県の在留外国人数は26万163人で、法務省の資料によると最も多い東京都、愛知県、大阪府に続き、全国で4番目となっています。県は、県民の約35人に1人が外国籍県民であると発表しています。そして、国は、特定技能について家族の帯同ができる「特定技能2号」の分野を2分野から11分野に拡大し、ますます在留外国人数の増加が予測されます。

また、県内の国籍別の外国人数は、令和6年1月1日現在、中国が74,592人で全体の28.7%を占め、次いでベトナム、韓国、フィリピン、ネパール国籍の方が上位を占めています。増加率では、インドネシア、ミャンマー、ネパール国籍の方が高くなっています。そして、地域をみると、中井町ではコンビニの製麺工場ができたことにより、フィリピン・ベトナム国籍の方が一気に増加した、箱根町ではホテル・旅館の中居さんとして勤務される方など、2014年度と比較し、ネパールの方が4人から2023年度は309人に、同様にベトナム国籍の方が8人から同157人と一気に増えたとのデータもあり、地域による「集住」と「散在」が懸念されています。このような状況の中、現在、県では日本語指導を必要とする外国籍児童・生徒に対して、国の求める18人に1人の配置を、県単独措置として公立小中学校で児童生徒5人に1人の教職員を配置しています。

今回、この質問をするにあたり、厚木市、藤沢市、箱根町の小学校を視察させていただきました。また、私的ではありますが、移民を受け入れているアメリカ・コロラド州の公立小学校も視察し、母国語しか話せない児童への教育現場の現状を見学しました。アメリカの学校も含め、以前にも増して外国籍児童の多国籍化が進んでおり、児童・生徒だけでなく、その保護者も母国語しか話せない中で学校現場でのコミュニケーションの難しさを伺いました。

ただ、アメリカと日本の大きな違いを感じたのは、ICTの活用の差です。コロラドの学校では、先生と英語が話せない児童がタブレットを使用し、一人が「語り」を担当し、他の二人が「象」と「蚊」の役を人形で表現し動画を撮影して、完成した映像をその場でみんなで楽しむという授業でした。英語が苦手な児童たちも、楽しんで演じており、動画を見ている姿も非常に楽しそうでした。一方で、県内の小学校では、やさしい日本語をプリントに書き写す、指導員の方から母国語と日本語で「私の年齢は12歳です」といった指導がなされていました。それぞれの学校の一場面がすべてではありませんが、今後より一層の増加と多国籍化が見込まれる中で、ICTの活用は必須と考えます。また、日本語指導員の発掘・登録を市町村単位ではなく広域行政としての県のネットワークを期待する声も私たちのもとに届いています。

そこで、教育長に伺います。今後、外国につながりのある子どもたちが大きく増えることが想定される中で、母国語しか話せない児童・生徒の受け入れ体制をどのように進める予定としているのか。そのうえでICTの活用についてどのように検討されているのか、所見を伺います

教育長】外国につながりのある子どもの教育についてお尋ねがありました。県教育委員会ではこれまでも、日本語指導が必要な外国籍の子供が5人以上いる市町村立学校に担当教員を配置する人的支援を行っています。また、一部の市町村では、母国語しか話せない子供が入学前に、学校生活に必要な日本語を学ぶプレスクール等を設置する取組も見られます。県教育委員会では、こうした取組事例を他の市町村に周知し、母国語しか話せない子供の受入れ体制の強化を促していきます。一方、最近では、1人1台端末への翻訳アプリの導入や、翻訳機能を有するICT機器によって言葉の違いを克服し、外国につながりのある子供とコミュニケーションを図る学校が増えています。これまで特定の言語にたけた日本語指導員に頼りがちだった支援は、ICT機器の活用によって大きく変わる可能性があります。そこで、県教育委員会では今後、ICT機器を活用して支援している事例を収集し提供することで、市町村に、外国につながりのある子供の教育のさらなる充実を働きかけてまいります。

石川】再質問させていただきます。さまざま答弁をいただきましたが、日本語指導員の発掘・登録を市町村単位ではなく広域行政としての県のネットワークを期待する声について答弁に触れられていませんでした。この点についてどのように検討されているのか伺います。

教育長】市町村教育委員会における日本語指導員の確保に対する支援についてのお尋ねでございます。市町村教育委員会には今後、ICT機器を積極的に活用した支援を図っていただきたいと考えていますけれども、特定の言語に係る日本語指導員の確保を求められた場合には、県教育委員会としても、JICA横浜などと連携して人材確保に協力してまいります。