石川(裕)委員
 ヘルスケア・ニューフロンティア・ファンドについて、質問させていただきたいと思います。
 この件については予算委員会でも議論されておりましたので、その目的と言いますか、民間資金がまず神奈川に集まることだと、そしてそこで雇用が生まれると、そういう目的といいますか、そこは理解をした上で改めて質問させていただきますが、まずこの資料を見させていただきますと、ファンド運営者と出資者との関係の中に、投資事業有限責任組合という表現が出てまいります。これは少し聞きなれない言葉ですが、これについて伺います。
特区連携担当課長
 投資事業の有限責任組合は、ファンドを運営し、ファンドの業務運営全般に係る責任を負う無限責任組合員、いわゆるファンド運営者と、出資のみを行って、出資額の範囲で責任を負う有限責任組合員、いわゆる出資者が締結する契約によって成立する組合です。
 一般にファンドと呼ばれるものは、この組合のことを指しておりまして、今回組成を予定しておりますファンドにおいても、県をはじめとする出資者とファンドの運営者との間で契約を締結して、組合を設立することになります。

石川(裕)委員
 少し調べるとほかの自治体でもこういうファンドを狙っている自治体はあります。まず、県が1億円、そして県以外の出資が9億円という形で10億円という規模のファンドということですが、まずほかの自治体と比較して、この10億円というファンドは、どれぐらいの規模だというふうに捉えられているのでしょうか。
特区連携担当課長
 まず、全国では東京、千葉、大阪など15の都府県がファンドの組成に取り組んでいるという話は知っています。このうち、ライフサイエンス分野を対象とするファンドとして大阪府、千葉県、茨城県などが10億円規模のファンドの組成に出資しておりまして、実際の出資額は2,000万円から1億円というふうになっております。10億円という額の規模は、ほかの都府県のファンドの組成規模と比較しても、平均的な規模なのかなというふうに承知しています。

石川(裕)委員
 平均的という御答弁ですが、ただ、ファンドということで、自治体が絡まない一般的なファンドといったときに、10億円という規模というのは、私は小さいというふうに思うのですが、この10億円で具体的にどういう成果が上げられるのでしょうか。
特区連携担当課長
 県の政策目的を実現するためには、今回組成しようとしているファンドの額のみで、必ずしも十分ではないので、これはほかの民間のファンドと協調して投資を行っていくことが重要になると考えております。
 加えて、特区ですとか、あと県の企業誘致施策など、県の他の政策と連動することなどによって、より高い効果を発揮できるというふうに考えています。

石川(裕)委員
 何で100億円ではなくて10億円なのですか。
特区連携担当課長
 まず、いろんなファンド、非常に巨額な規模のファンドなんかもある中で、ベンチャーに投資する、ベンチャーファンドについては、おおむねこのぐらいの、10億円という金額は、ある程度の平均的な規模であるというふうに認識しております。
 それで、あとまず10億円、なぜ10億円だということについては、まずはとにかく県出資によるファンドを着実に実現させるということを優先して、10億円という規模にしたものです。

石川(裕)委員
 私、神奈川県でほかにそういうファンドがないのかなと思って調べたのですが、これはまた全然違いますが、かながわ中小企業再生ファンドというのが神奈川でファンドをやられて、当時のところで言えば官民一体の初めての県内でのファンドだというような報道もされています。
 今回神奈川県がファンドをやるのですが、県が初めてお金を出して、1億円というお金を出してやるファンドということの中で、この運営者は県がやるわけではなくて、運営者が資料を見るとありますので、運営者というのはどのように決まるのでしょうか。
特区連携担当課長
 ファンドの運営者については、予算の議決を頂きましたら、6月に公募を行って募集をして決定する予定です。

石川(裕)委員
 普通は運営者があって、その運営者に対して、この運営者は安心できるとかというものがあってから、出資者が出資をするというふうに思うのですが、運営者が決まっていないのに、県が1億円は出資しますという、この順番というのは、これはどういうことでしょうか。
特区連携担当課長
 今回の組成をさせていただくことを考えているファンドというのが政策連動型ということで、まず通常であれば、こういうことをやっていきたいという運営者がいて、委員御指摘のように出資者を募るのですが、まず県としてこういうことをやっていきたいので、それを請け負っていただける運営者はいらっしゃいますかということを公募して、それで応えてくれる運営者がいらっしゃれば、それに対して運営者が出資者を募るというような形になっています。

石川(裕)委員
 ということは、もうそれにふさわしいというか、県の中ではある程度の、もうそういう運営をしてくれるような会社、公募と言っていますので、そういうのはもう何社か見据えているという理解でよろしいでしょうか。
特区連携担当課長
 これまで、神奈川や東京に活動拠点を置いて、ヘルスケア分野に実績のあるファンドの運営者10社以上に対して、今回のファンドにおいてどう考えるかというようなヒアリングなども行ってきました。その中には、もう既に実際アカデミアと連携してファンドを運営している事業者もいらっしゃいましたし、あと国内外で幅広く活動を展開して、一定の実績を確保している事業者もいらっしゃいました。こういった方々も今回のファンドに高い関心を持っていただいているところです。
 今後もこうした有力なファンド運営者の方とも情報交換しながら、適切にファンド運営者を設定できるように努めていきたいと思います。

石川(裕)委員
 もう一つ、資金調達の仕方として、そのファンドというのがあるのですが、今クラウドファンディングという手法もよくありますが、これでは駄目なのですか。
特区連携担当課長
 クラウドファンディングの一般的な特徴として、投資の案件が明確な特定のプロジェクトに対して、不特定多数の方を対象にインターネットなどを活用して、比較的少額の資金提供を求めるという特徴がございます。今回のファンドは、今の現時点では投資案件は定まっておりませんし、今後発掘するものであることや、あとまたベンチャー企業のニーズに応じて数千万円単位、場合によっては億単位の投資を行うものでありますので、クラウドファンディングの手法はなじまないというふうに考えたところです。

石川(裕)委員
 出資の金額の部分も出ましたが、あと出資を受ける側の企業というのは、この10億円という想定の中で、何社ぐらいかという想定はあるのですか。
特区連携担当課長
 投資先の件数ですが、統計などによりますと、ヘルスケア分野のベンチャー企業1社当たりへの投資額は5,000万円から1億円程度ということになっておりますので、今回のファンドの規模から逆算しますと、大体10件から15件前後になるのではないかと考えているところです。

石川(裕)委員
 このファンドのところですが、先ほど少し触れましたが、かながわ中小企業再生ファンド、これ少し所管がどこか分からないで今質問させてもらっていますが、今実際にこれが先行して、ファンドとしては全然違うものですが、これの経過はどなたかお分かりになるのでしょうか。
特区連携担当課長
 まず、このかながわ中小企業再生ファンドですが、これは産業労働局の所管です。それで、平成23年12月に設立されておりまして、存続期間は8年ということです。
 運用状況ですが、一般に運用中のファンドの運営状況というのは公表されておりませんので、私どもも今これがどういう状態になっているのかということについては、承知しておりません。

石川(裕)委員
 今一般的に公表されないというお話がありました。というと、このファンドに関しても、期間が大体10年ぐらいを想定されているのですか、そういったときに、その期間中は、途中経過というんですか、それは県に対しての公表義務はないということですか。
特区連携担当課長
 県もたくさんある出資者の一つですので、県の意向だけで公表する、公表しないというような判断はできないと思いますが、例えば既に設立している大阪バイオファンドの例で見ますと、もちろんまだこれも運営期間中ですので、最終的にどれだけの運用益が上がったのかということは公表されていないのですが、実際にここの企業に投資をしましたといったようなことは、現在見ているだけでも10件まで投資しましたというのがありますし、そのうち1社については上場を果たしましたという情報も公開されておりますので、こういったことなども参考に、今後ファンドの運営者と制度を詰めていく中で検討していきたいと思います。

石川(裕)委員
 私もその資料は見させていただきました。確かにマザーズに最初に投資した企業が上場されたというようなことは、大阪府も発表されています。
 少し側面の見方を変えますが、これは出資をしたことが目的なのか、そうじゃないですね、出資をして神奈川県にいかに雇用が生まれたかとか、税が納められたかとかということだと思うのですが、これから10年間ぐらいということで、中でいけば、この議論というのは、県議会とか委員会等での議論というのは、何を基準に質疑をしていけばいいのでしょうか。
特区連携担当課長
 先ほどの大阪府の例では、投資をしたところというのが公開されておりますので、そういったところがどういう活動をしているのかというもので、公開されている情報の範囲の中での情報提供をさせていただくことになるのではないかと思っております。

石川(裕)委員
 そうすると、例えばここの何とかという企業に出資をしますということ、例えば5,000万円、若しくは1億円というときに、委員会等々にその都度、報告があるということですか。
特区連携担当課長
 現時点では、まだ運営者も決定していない状態ですので、その辺のところについては、現段階では未定です。

石川(裕)委員
 それが分からなくて運営者を決めるというのは、まだ決まっていないのであれば、そういう原則というのですか、そういうことを含んで企業を募集するということも可能だと思うのですが、その点についてはどうでしょうか。
特区連携担当課長
 今御指摘があったことも含めて、今後運営者を募集する際に募集要項というものを作っていきますので、その際に運営者の要件を決めていくことになりますので、そこのところの決める過程の中で検討していきたいと思っております。

石川(裕)委員
 やはりそこが、先行会派の質疑にもありましたが、もともとヘルスケア・ニューフロンティアという事業が県民に分かりづらいと私は思っています。そういう中で神奈川県がファンドを1億円投資して、これをやらなければいけないというのは、もっと私は分かりづらいという部分を感じています。
 という中でいくと、もう一回確認ですが、このファンドをやった、それで途中経過も今、例えばここの企業ということの報告をされるが、それではその企業が今利益をどれぐらい生み出しているのか、若しくは雇用を生んだのかということの質疑が、この委員会では途中、例えばこの10年間という期間が決まった中でいくと、なかなかしづらいということですよね。
特区連携担当課長
 先ほど、公表することの判断がつきませんと答弁申し上げたのは、要は出資をしたことによって、その企業からどれだけのファンドに対してリターンがあったのか、その部分というのは全部ファンドの運営期間が終了してからでないと確定しないので、どこのファンドでも公表していませんという意味です。

石川(裕)委員
 ここが私は非常に重要だと思っていまして、例えば、まち・ひと・しごとのグランド計画みたいなものがあるとします、それで、これファンドのところで、これKPIというのは立てられないのですか。もし立てるとしたら、どんなKPIの立て方になるのですか。
特区連携担当課長
 KPIのような具体的な数値を明らかにすることで、県民の皆様にこの取組のことをお示しするということは重要だと認識しております。ただ、しかしながら今回のファンドは、今後投資案件を決定していくものでありますので、現時点で、例えば今回のファンドによって、県民の皆様にどれだけ健康に寄与するかといったような目標を掲げるのは難しいのかなと考えております。
 ただ一方で、ファンドによる直接的な効果としまして、例えば投資件数ですとか、あと想定される投資利回りなどについては、どこまで県民の皆様にお示しすることができるかということも含めて、ファンド運営者と協議をしていきたいというふうに思っております。

石川(裕)委員
 非常に分かる部分と分かりづらい部分というのがあるのですが、これ例えば10年という期間が決まった中で、このファンドが目指すものというのですか、結果10年たって、県の皆さんがどういったイメージを立てられてこのファンドに投資をするのか、そしてそれがどう県民に、10年と決まったときに、8年かもしれませんし12年かもしれませんが、そのファンドが終わった後、どういうイメージをされていて、それで県民の皆さんにどう還元されているというのを目指されているのかというのを伺っておきたいと思います。
特区連携担当課長
 運営者も出資者も投資先もまだ決定しておりませんので、この段階で将来の具体的な姿をお示しするのはなかなか難しいのですが、ファンド運営者と協力して取り組むことで、県民の皆様に様々なメリットを還元できるというふうには考えているところです。
 例えば、これまで考えもつかなかったような最先端医療分野、あるいは未病を改善する精神のサービスが実用化されれば、より多くの県民の皆さんにとってメリットになると期待されますし、また投資先の企業がヘルスケア分野のリーディングカンパニーに成長すれば、雇用も含めて県内にプラスの経済効果がもたらされますし、こうした効果は投資先の企業だけにとどまらず、取引先の企業や関連企業にも波及していきますので、経済のエンジンが回ることで、多くの県民の皆様にメリットを還元することはできるというふうに考えているところです。
さとう(知)委員(関連質問)
 関連ですが、例えば当然ファンドですから、県が出資したお金は返済義務がないということであります。それで、当然ファンドマネジャーとしては、これ運用益を多く出すことが求められるわけですが、神奈川県の中では非常に狭いですから、当然投資案件は日本国内、国外、様々あると思うのですが、先ほどの石川委員の質問の中で、明確な答弁がないなというふうに思ったのは、このファンドを行うことによって、例えば5億の運用益を出して、その得た運用益を神奈川県内に投資する、例えば貸し出しだとか何だとかして、神奈川県内の企業に対して利するようなことをしたいというようなものがあれば、まだ理解できるのですが、このファンド自体が運用益を目指すのか、若しくは神奈川県が目指しているような、そこの運用益が多少低くても、神奈川県内のヘルスケア分野の活性化につながるようなものを目指すのか、これというのは、県としては何か明確な考え方はあるのですか。
特区連携担当課長
 今の段階で、運用益は低くてもというのは、出資者を募ることができないので、やはりファンドですので運用益を追及していくことは当然ですが、政策連動型のファンドで、委員の御指摘のような政策目的を実現するということを第一に考えているというものです。
さとう(知)委員
 意見ですが、やはりファンド自体が、ファンドマネジャーによって左右されると思います。非常に有名なファンドマネジャーというふうに、この人だから投資するというのがあるのですが、有能なファンドマネジャーというのは運用益を出して何ぼですから、もしかしたらそこの部分で、神奈川県の考え方としては異なってくることも出てくるかもしれません。例えば、投資案件が全て神奈川県とは全く関係ないところに、ヘルスケア分野に限ってだが投資されることもあるかもしれませんが、そういったこともあるのではないかということを指摘して、今後、今回はやはりファンドマネジャーを決めた後でというふうなことの方が筋かなと思うのですが、私の質問はこれで終わります。

石川(裕)委員
 要望ですが、やはりもともとのこのヘルスケア・ニューフロンティアという事業が分かりづらい、見えづらいという御意見が多い中で、そこにファンドを立てられるということでいけば、やはり県民に対して、こういうことで神奈川県には夢があるのだと、そして最終的にそのベンチャー企業が育って、そしてそこに雇用が生まれる、そして税という形かどうか分かりませんが還元があるとする、これを目指していくのだということを丁寧に、そして具体的に、私はお知らせをしていく必要があると思いますので、そこの周知徹底を今後お願いしたいということで、この質問を終わりにします。