文部科学省により、神奈川県の小中一貫教育推進に関する取組が紹介されています。事業成果報告書が出されていると思うんですけれども、そういう中でまず、小中一貫教育推進に取り組んでいる神奈川県の事業に関する狙いに、何があるのかお伺いします。
子ども教育支援課長
本県で小中一貫教育を推進していく中で、基になっているところとしまして、平成25年8月に神奈川の教育を考える調査会の最終まとめが出まして、その中で今後限られた教育資源を有効に活用し、子供にとってより良い教育環境を提供するために、市町村と十分連携し、地域の状況も踏まえながら、小中一貫教育モデル校に取り組むべき必要があると示されました。その後、平成26年から小中一貫教育校の在り方検討会議において、様々な国の事例等も参考にしながら、現在神奈川県として目指すべき小中一貫教育の在り方の狙いでございますが、子供の数の減少など急速な社会の進展、変化の中で、教育活動に必要な一定の集団の規模が維持できる、あるいはいじめ・不登校等地域学区の課題解消を鑑みても、この小中一貫教育の推進は、非常に有効であろうということで推進しているところでございます。
石川(裕)委員
文部科学省に報告されている事例は、一例ですけれども、小中学校の連続的な学びの視点が、教育活動や指導に十分には生かされていない等の課題を解決する一つの方策として、小中一貫教育校の導入を図ると報告されています。こういうことを具体的に説明していただいたと理解していますけれども、その中の実施状況で、県は小中一貫教育サポートデスクを設置し、小中一貫教育推進に係る情報収集と情報提供を行ったと報告されています。具体的にどういう情報収集と情報提供がなされたのか伺いたいと思います。
子ども教育支援課長
当課に配属されておる小中一貫教育担当指導主事が、県内のモデル校を回りながら、指導・助言はもちろんでございますが、情報収集として、先進市、県内の先進校及び県外も含めてですけれども、そういったところを視察しまして、そこから得られるいろいろなノウハウについて、現在進めているモデル校に対して、指導・助言を行っているという状況でございます。
支援部長
それに加えまして、今後、県内市町村で小中一貫教育を行っていこうという市町村と連絡をとりながら、それに対して今までの情報提供等を行ってございます。
石川(裕)委員
今ヘルプデスク、情報収集と情報提供等の話をさせてもらいけれども、小中一貫教育ということで、学力向上に向けてサポートデスクではどういう情報の収集と提供をされているのか伺います。
子ども教育支援課長
小中一貫教育の推進により、子供の学力向上の想定される効果としましては、まずは、小中学校の教員全体が、その子供が9年間で学ぶ学習内容の方向性を、まず教員が深く理解する。そのことが教員の指導力の向上につながる。そして、それが子供の学習意欲や学力の向上につながる。あるいは小中一貫を取り組んでいる学校で多く見られる例としましては、中学校の教員が小学校に出向き、例えば6年生や5年生の児童に中学校の教員が授業を行う。そういった授業を受ける中で専門性の部分あるいは自分が進学することになる中学校の教員と授業の中で触れ合い、そういったことがひいては子供の学習意欲や学力の向上につながる。小中一貫の取組について、そういう段階を経て子供の学力向上につながっていくものと認識し、そういった具体的な取組事例を収集しているところでございます。
石川(裕)委員
1年終了時点での教職員、児童・生徒、保護者、地域の方の小中一貫校推進に関する意識や認識について、情報を得ることができたとされています。どんな情報が得られたのか伺います。
子ども教育支援課長
そこに記載したとおり、モデル事業の取組を始めて1年余り、実質的には平成27年度1年間、その年度末に各モデル校において、児童・生徒、そして教職員、保護者向けのアンケート調査で、そういった情報を整理したということでございます。
石川(裕)委員
アンケートの内容は書いてないので、具体的にアンケートの内容を教えていただきたい。
子ども教育支援課長
例えば教師用質問アンケート調査項目としましては、まずは小中一貫教育について、教職員全体で共通理解して取り組んでいると思えるか、そういった理念部分から始まりまして、次に児童・生徒に対しての質問紙としましては、小学校と中学校児童・生徒同士が一緒になって行事など活動することはとても大切だと思うとか、小学校の児童に対して、中学校の先生が授業したり、小学校に来て授業を見たりする回数を増やしてほしいとか、あるいは保護者向けのアンケートしては、小中学校の交流活動は、児童・生徒の良好な人間関係を築く力を育てることに効果があると思いますかといった項目について、それぞれアンケート調査をしているところでございます。
石川(裕)委員
アンケート調査で、実施状況で得た状況をもう一回丁寧に分析して、そして取組を拡大していく予定であると報告をされています。また、この神奈川県内の市町村教育委員会、そして小中学校に最終報告を周知したとされていますけれども、どういう反響があったのか伺いたいと思います。
子ども教育支援課長
まずこのアンケート調査の丁寧な分析につきましては、昨年度末のアンケートの結果につきまして分析し、今年度実施しておりますモデル校の連絡協議会ですとか、小中一貫教育の連絡会議に報告をし、また有識者の方々から意見を頂いているところでございます。
最終報告は、今手元に資料がないんですが、恐らく平成27年10月に施行された神奈川県の小中一貫教育の在り方検討会議からの最終報告と受け止めになろうかと思います。この最終報告につきましては、全ての市町村教育委員会の指導主事が集まる全県指導主事会議で配り、議論、協議の対象としたところでございます。
最終報告の文書そのものへの反響という部分での答弁は難しい部分でございますが、小中一貫教育の推進に関しましては、現在モデル地区として進めている以外の市町村においても、現在検討しているところが増えるなど、主体的に考えたり検討している市町村があるという状況でございます。
石川(裕)委員
そういう中で海老名市と同じときに秦野市の事例も一緒に報告をされています。海老名市にしても、秦野市にしても、小中一貫教育という中で、学力向上を図るということを一つの目標、取組の狙いとしています。そういう中で海老名市、秦野市両教育委員会が学力向上の成果をどのように捉えているのか、県教育委員会としてはどう認識しているのでしょうか。
子ども教育支援課長
このモデル事業の取組における成果と課題につきましては、まだ始めて1年間ということもあり、児童・生徒の学力向上に、この取組がどのように影響しているかという部分については、なかなか検証が難しいところでございます。一方、先ほどお話にもありましたように、秦野市においては、このモデル事業に参加する以前より、幼・小・中の連携に取り組んでいるところでございます。結果的に子供たちの学力向上につながるということも大切な目標、狙いの一つでございますが、総合的に学校教育がより充実したものになるというところを狙いにして、取り組んでいるものと認識しております。
石川(裕)委員
私は、小中一貫教育というのは、是非推進していくべきだという立場で質問させていただいていますけれども、海老名市、秦野市と一緒に箱根町もたしか先進的なモデルとして進められていたと思います。今新たにいろいろな地域で進められているかと思うんですけれども、今回、文部科学省の報告書に海老名市と秦野市だけ報告されています。この理由は何ですか。
支援部長
文部科学省からの委託を受けて事業を行っていたのが秦野市と海老名市でございます。箱根町は文部科学省とは別に、県の取組として参加していただいたというところで、入っていないということでございます。
石川(裕)委員
小中一貫教育の取組を進めていただきたい。先ほども申し上げましたけれども、ある意味、先に質問したいじめの問題、中1ギャップの問題もあると思います。そして今質問させていただきましたけれども、海老名市、秦野市に関しては、学力向上も一つの狙いとされています。いろいろなやり方、進め方があると思いますけれども、神奈川県でいろいろな取組がされている中で、是非児童・生徒が中心ですから、いろいろなやり方はあるかもしれませんけれども、さっきの学校の名前の変更もそうですけれども、まず児童・生徒のことを考えて、児童・生徒が勉強が分かる、そして授業が理解できるような、県と市町村の教育委員会と共同しながら取組していただきたいということを申し上げて、私の質問を終わります。