県内観光客への受益者負担の在り方について
石川】本県では、観光客の受入環境整備を積極的に進めているが、観光先進県である沖縄県では、急増する観光客の受入環境整備のため、宿泊税導入を進めており、福岡県でも導入に向けて取り組んでいる。また、県内では箱根町が宿泊税を検討している。
そこで、県では2017年に観光客の受入環境の整備について関係する事業者団体や学識経験者等の協議会を立ち上げ、その中で、観光客受入環境整備に2018年度から5年間で、官民合わせ約188億円の費用が掛かると推計している。一方、県では、今年度外国人観光客受入環境整備や誘致のため、厳しい県財政の中、約2億5千万円もの県税を費やす予算を計上している。改めて、増加する観光客に対して、宿泊税などの受益者負担を求め、安定した観光財源を確保した上で、県の観光施策を進めるべきと考えるが所見を伺う。
知事】県では、国内外からの観光客の持続的な増加を図るため、関係する事業者団体や市町村、有識者等に幅広く協議していただく「神奈川県/観光客/受入環境整備/協議会」を2017年1月に設置しました。
本協議会において、2018年度から2022年度までの5年間で官民が取り組む事業の経費を約188億円と推計しています。
また、宿泊税の導入については、横浜市や箱根町への税源の偏在や、税を徴収する宿泊事業者の新たな事務負担など、様々な課題があるため、拙速に進めるべきではないこと、広く、浅く、平等に観光客に対して課税する方策の議論を慎重かつ丁寧に進めておくべきことなどの御報告を頂きました。
一方、全国知事会では研究会を設置し、宿泊税については、国が地方税として法定化することを目指すべきであるが、まずは、各自治体において法定外税として導入を広げていくことが望ましいとの方向性が示されました。
法定外としての宿泊税については、東京都、大阪府、京都市などで既に導入されているものの、本県としては、県民や市町村、事業者の皆様の十分な御理解、御協力が不可欠であり、丁寧に検討や調整をしていく必要があると認識しています。
また、今年1月に国税として導入された国際観光旅客税について、その税収の一定割合を自治体にとって自由度が高く、創意工夫を活かせる交付金等により地方に配分するよう要望していきます。
県としては、今後とも国や民間事業者との連携により、県予算の縮減を図りながら事業を推進するとともに、観光のための財源確保方策については、協議会で頂いた御意見を踏まえつつ引き続き検討を行ってまいります。