石川(裕)委員 まず、今回の報告資料にありました主要施策の概要の重点的な取組について伺います。この重点的な取組は毎年掲げられていて、昨年、おととしと資料を比較させてもらうと、順番は違いますが、教育ビジョンに掲げた課題への対応、新まなびや計画の推進、県立高校改革の推進、教員の働き方改革の推進など、継続した取組が行われているところです。 毎年、当初予算において重点的な取組を決め、予算編成を行っていると思いますが、この重点的な取組を決める考え方を伺いたいと思います。
教育局財務課長 令和2年度の予算ですが、急激な少子高齢化やグローバル化、情報化の進展など、社会状況の変化や、ともに生きる社会かながわ憲章の実現に向けた取組の推進、また東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の開催など、本県を取り巻く環境を踏まえて編成したところです。予算案のところで重点的な取組をお伝えさせていただいていますが、この重点的な取組については、その時々の教育課題に対応するために、県教育委員会として重点的に取り組むべき項目として選定しているところです。
石川(裕)委員 今、その時々という答弁をいただきましたが、今年度の重点的な取組に掲げられて、拡充の項目が多かった人生100歳時代の社会教育というのが今年度は位置づけられています。来年度のこれを見ると、項目ごとなくなっています。 三つ伺いたいのですが、まず、その人生100歳時代の社会教育というものが、来年位置づけられなくなったのはなぜかということです。そしてまた、昨年初めて項目として上がっていますが、初めての取組にもかかわらず、今年度における成果の検証ができていない中で、重点的な取組から変更してしまうのはなぜかということです。そして、成果の検証はどのように行われているのか、この三つを伺いたいと思います。
教育局財務課長 令和元年度は、県民一人一人が生きがいを持って生涯にわたって輝き続ける社会を実現するという人生100歳時代に向けて、地域住民等の参画や地域の特色を生かした事業を展開することや生涯を通じた学びや学び直しの役割というものが社会教育に求められていました。また今年度は、県立体育センターの再整備がピークを迎えるなど、社会教育施設等の老朽化対策にとっても、重要な年であったことから、人生100歳時代の社会教育を重点的な取組として位置づけたものです。この重点的な取組は、その時々の教育課題に対応するために、県教育委員会として項目を設定しているところでして、令和2年度は落ちているというところです。それから、もう一つ、平成31年度の重点的な取組だった人生100歳時代の社会教育の構成項目は、大きく地域学校協働活動の推進による子育て・家庭教育支援活動の推進とそれから社会教育施設等の老朽化対策の二つになりますが、それぞれの構成事業については、これまでの取組成果を勘案しながら、令和2年度当初予算を編成して、継続しているところです。
石川(裕)委員 その時代に合った重点的な取組を見直すということは理解をしますが、恐らく成果検証より、予算編成の発表のほうが早いでしょう。年度の随分手前で、ある程度決められているということは、例えばですが、人生100歳時代の社会教育が後退してしまったのではないかと取りかねないという疑念を持ってしまいます。特に単年度でしかこの項目は上げられていませんが、他のものは継続してずっと上げられています。成果の検証が行われているとは思いますが、重点的な取組の項目の在り方を今後検討していただきたいと思います。 次に、同じく来年度の重点的な取組として、これからの社会に対応した人材育成、県立高校改革の推進の中に上げられているグローバル人材の育成、質の高い教育の充実の中の生徒の英語力向上推進について伺ってまいります。 今年度は、外国語指導助手(ALT)の業務委託契約を請負委託から派遣へと変更して、新たに教員のティーム・ティーチングを可能にし、その時間数を拡充するとしていました。学校の授業はどのように変化し、その効果をどのように捉えているのか、伺いたいと思います。
高校教育企画室長 これまでの請負契約においては、事前に学校から提出された授業計画書に基づき、外国語指導助手は、主体という形で授業を行ってまいりました。このため、授業中に日本人の教員から ALTに指示を出したりすることができないといった状況があり、契約上の制約という部分が大きかったのですが、派遣契約という形に変わったことで、ALTと日本人教員がやり取りをしながら、協働して授業を進めることが可能になったという状況です。これにより、生徒の様子や理解度に応じて、日本人教員が易しい英語で言い直したり、ALTにもう少しゆっくり話すように指示を出したりと、ティーム・ティーチングの長所を生かした形での柔軟な授業を展開できるようになったと考えています。 また、ALTが日本人教員と授業の前後に打合せを持つといったこともできるようになりましたので、例えば、授業後の振り返りを行う中で、ティーム・ティーチングによる授業改善や生徒一人一人の状況の確認ができるようになり、より生徒の実情に応じた授業を行うことができるようになっています。 そこで、そういった部分の効果について、明確な数値という部分は難しいところがありますが、今年度実施した生徒に関する事業評価のアンケートでは、ALTだけの授業でなく、全体を含む外国語の評価になりますが、生徒が授業の中で身についたことやできるようになったことを実感することができたかといった質問に対して、外国語の授業に関しては肯定的な回答をした生徒の割合が84.2%という数値が出ています。その中でも特に、とても当てはまる、と回答した生徒の割合が34.4%ということで、昨年度の同様の質問と比べると約3.3ポイント上昇しています。 ALTに限定した部分と言い切れませんが、ある程度そういった成果が出ているものと考えています。
石川(裕)委員 アンケートの結果は、生徒も向上していると前向きに理解をします。 今年度、例えば、生徒の英語力向上を目指して、英語資格・検定試験の受験を促進するために必要な支援を実施するとして、英語資格検定試験活用促進支援事業費に3,488万円が計上されています。来年度は3,131万円で、300万円ぐらい減っているのですが、まず今年度に、どのくらいの生徒が受検し、目標とする準2級程度の資格を持った生徒はどのくらいなのか、実績を伺いたいと思います。
高校教育企画室長 今年度の結果ですが、県立高校24校と中等教育学校1校、合わせて25校の7,353名の生徒が受験をしています。ただ、今年度の実績に関しては、学校によっては、年度末に生徒の成果を試すという意味で受験をするところもあり、まだ実施団体から直接の結果が届いていないところもあります。したがって、全部の集計ができていませんので、参考までに平成30年度のデータを申し上げると、平成30年度に関しては31校、7,902名が受験をしております。そのうち61.5%の4,862名が高校卒業時に求められる英語力として、これまで英検準2級程度と言っておりましたが、昨年度から国が示している基準として表現が変わっているCEFRのA2レベル相当以上の資格を取得したという状況の数字が出ています。
石川(裕)委員 英語資格検定試験を25校でということですが、受けた生徒、そして合格して準2級程度の資格を持った生徒は、例えば、調査書のようなものにも書けるのでしょうか。
高校教育企画室長 英語の4技能検定試験にはGTECがありますので、英語の運用能力を測定する検定ということで、大学入試においても活用されているという状況は既にあります。したがって、調査書においても、各校既に記入しているという状況です。
石川(裕)委員 それと、今25校がこの英語資格・検定試験を受けられたということですが、この英語資格検定試験活用促進支援事業の高校、学校と生徒数はどのように決められているのですか。 高校教育企画室長 学校の決定に関しては、支援を希望する学校を募り、その中で、前年度のCEFRのA2レベル相当以上の英語力を持つと思われる生徒数が少なかった学校、これまで支援したことのない学校、グローバル教育研究推進校、以上のような学校を優先して選ぶ中で、県教育委員会として決定をしています。 この中で、生徒に関しては、学校が学年単位で申し込むことになっておりますので、学校のほうで決定している状況です。
石川(裕)委員 先ほども申し上げましたが、来年度はこの予算が300万円減額されています。来年度の対象学校数や生徒数など、その目標を伺いたいと思います。
高校教育企画室長 学校数は、今後、希望が出てきた段階で決定することになりますが、予算の策定に当たり、人数の換算で考えております。現在のところ、減額に合わせて6,250名への補助を考えています。
石川(裕)委員 要望になりますが、ALTの予算は毎年3億円以上組まれていて、来年度は3億5,000万円以上の予算が計上されています。生徒の英語力向上の推進を掲げている中で、結果というのは、一つの指標として試験というものがあると思いますので、その先の大学入試の英語の在り方も今検討されています。うまく連携して、そこも見据えながら、きちんと生徒一人一人の英語力が向上できるよう指導をお願いしたいと要望します。 続いて、県立学校施設再整備計画(新まなびや計画)の推進について、先行会派でも質疑がありましたが、視点を変えて質問をさせていただきます。県立学校のトイレ環境の改善予算が今年度は52億1,900万円であったのに対し、来年度は26億8,900万円余と、およそ半減になっています。トイレ環境改善の整備計画は令和5年までと答弁もありましたが、まず半減された理由は何でしょうか。
教育施設課長 トイレの環境改善は、新まなびや計画の第1期の令和5年度をめどに、県立学校の全ての校舎について完成させるという計画の中、その効果を早期に行き渡らせるために、当初の計画を前倒しして実施し、第1期の最終年の令和元年度までに、各校1棟以上の完成を目指して整備を進めております。このように、今年度までに各校1棟以上の整備の完了を目指すことから、今年度の整備棟数は多くなっており、したがって予算も多くなっておりますが、来年度以降は、令和5年度までに全ての棟の完成に向けて、計画的に取り組んでいくこととしています。
石川(裕)委員 計画的にということは分かるのですが、今年度の予算は、1棟以上という計画の中でこれだけ増えたという理解です。そうすると、またこの令和5年の最終年度に、いきなり予算がぐっと上がることにはならないのでしょうか。
教育施設課長 先ほど答弁させていただきましたが、前倒しで、今年度までに各校1棟以上ということで、今年度101棟完成しています。資料のとおり、令和2年度は47棟の予定になっており、この47棟も含め、残り4年間で200棟近くの棟を整備していくので、そこは急に増えないように計画的に整備していきたいと考えます。
石川(裕)委員 昨年と今年度を比べると、一気に上がっています。そういうことがないように、ぜひここは指摘をしておきます。 もう一つ、県立学校におけるバリアフリー化の推進について、来年度に約3億円の減額となっています。みんなのトイレや障害者用トイレの各校の設置状況についてどうなっているのか、伺います。
教育施設課長 令和2年1月末現在の数字ですが、障害者用トイレについては、病院に併設している県立横浜南養護学校を除く県立学校171校のうち122校、195棟に設置されています。また、みんなのトイレについては、105校、105か所に設置しております。
石川(裕)委員 この3億円減額になった理由は何でしょうか。
教育施設課長 3億円の減額理由ですが、バリアフリー予算の減となっている主な理由として、今お話のありました障害者用トイレやみんなのトイレといった、トイレに係る予算が約2億8,000万円の減となっております。これは、先ほどお話が出ていましたトイレの環境改善の対象棟数全体が減少していることに伴ってなっております。また、このほか、エレベーターの設備について、今年度、県立あおば支援学校の整備が完了したことなどから、約3,000余万円の減となっております。
石川(裕)委員 今回、人生100歳時代に替わって障害者雇用の推進が、来年度の重点項目だと、県教育委員会の資料に上げられています。その中で、この県立学校におけるバリアフリー化の推進が、前年度より3億円減額されています。前年度と比較すれば、この障害者雇用の推進の重点項目の在り方というのを、私は検討しなければいけないのではないかと思います。 要望になりますが、障害のある生徒、もしくは教員の方が使える環境は、学校全体と、通っている生徒の環境の変化にもなると思いますので、ぜひこれは優先的に取り組んでいただきたいと思います。